シングルカードのアレ事情1
2006年12月12日今回は「マジックの裏事情」というよりは、「販売店の裏事情」になります。
裏ってほどでもないけど。
ま、シングルカードの価格はプレイヤーの方にも影響が大きいだろうし、これはこれでマジックの事情の一つだとも、無理やり言おうとすれば言えない事もないです。とても強引な自分がたまに大好きです。
まぁ、まず最初に。
マジックの販売店の"マジック"に関するお仕事は、大きく分けて4つになります。
1) 未開封製品(パック、ボックス、その他)の販売
2) 関連商品(ライフカウンター、デッキケース等)の販売
3) シングルカードの販売
4) シングルカードの買取
「だから何?」と言われそうなほど当たり前のことですね。
ここで重要なのは1つだけです。シングルカードだけは仕入れ値を自由に決められるということです。
あ、「売値も決められるじゃん」と思った方。それは半分正しくて半分間違ってます。確かに売値も自由に決められると言えないこともないのですが、コレ意外と自分の思い通りにはできないんのです。
よく勘違いされていることでもあるので、ここで一度ハッキリ申し上げますと「カードの値段は、カードの強さで決まるのではありません」。イラストやレアリティで決まるのでもありません。もちろん、それらの要素が値段に大きく影響するのは確かです。しかし最終的にカードの値段を決めるのは『人気』、それ1つです。ダメなカードでも人気があれば値段はあがります。非常に強力なカードでも人気が少なければ値段はそこそこです。
前者の例としては、「イラストが人気」という例がわかりやすいと思います。あと「たくさんのデッキに使われるカード(例:多色土地)」も人気が高くなります。多少弱くてもね。
後者の例としては、「強いけどメタに合わない」や「強いけど、1つのデッキにしか使えない」というのがあります。タイムリーな話題としては、世界選手権で優勝したデッキのキーカードにも関わらず、相変わらず値段がパッとしないDragonstormなどがいい例でしょう。いまだ500円未満って。
話を整理しますと、こうなります。
a) 一般の製品は仕入れ値が一定。売値も同業他店とほぼ同じにしかできない。
b) シングルカードの価格を決めるのはあくまでも大衆(客)。店ではない。
c) ただし、仕入れ値は店次第。
(b)に関しては、やっぱり納得できない人も多いかもしれません。最終的に値段をつけてるのは店ですし。でも、それでもやはり「相場以上」の値段をつけたカードは売れ残り、たとえ売れたとしても「あの店は高い」という悪い評判という形でフィードバックしてきます。「相場以下」の値段をつければそりゃたくさん売れるでしょうが、今度は「在庫切れ」という最悪の形でツケがまわってきます。蛇足ですが、販売店にとって在庫切れは最悪の状態です。欲しい商品がない店に客はきません。いくら安いと評判の店でも、10回行って10回とも在庫切れでは、二度と行く気は起こらなくなるでしょう。多少高くても常に在庫のある店のほうが、客としては安心して足を運べます。
更に言うと、シングルの安売りをしている店はやはりシングルの買取価格も安いんです。そうするとそこで売ろうとする人は当然他より少なく、そのために商品の供給が滞るという事態を招くこともあります。その結果として、本当に皆が欲しがる一級カード・目玉商品が無い、ただゴミレアが安いだけの店と成り下がります。ウルザズサーガ〜メルカディアンマスクスの全盛期、日本でもマジックのシングルカード専門店が雨後の竹の子のようにぽっこぽっこ湧いた時期(特に東京・山手線沿線やネットショップ)がありましたが、そう言ったショップの7〜8割が既に名前も残ってないところを見ても、安売り大作戦は一時しのぎにしかならないことがわかるかと思います。…とは言っても、利用する客側としては美味しいカモなんですけどね。そういった「俺、カードたくさん持ってるからこれで商売しちゃおう! 他の店より安く売るぜ!」なチャレンジャーは。
ちなみに、ちょっと活躍しちゃったプロプレイヤーが「開店 → 最初だけ知り合いで賑わう → 数年足らずで閉店」のお決まりのパターンを踏むのはちょっとした風物詩、夏の花火のようなものですね。あぁ、あの人は今。
別パターンとしては「カードショップの店員 → こんな仕事でこんなに儲かるのなら俺っちもやるっち! → 独立 → 最初だけ(略) → 倒産」ってのもあります。マルチ商法とかにスグに引っかかりそうなタイプの人ですね。楽して儲かる仕事ナシ。
さて、また話が長くなりましたので、もう一度整理。
結局のところ、今回の話のキモは「シングルカード屋の良し悪しを決めるのは、カード買取価格」となります。とは言っても、決して「できるだけ安く買い叩ける店がすごい」ってワケじゃありません。むしろ真逆です。「カードにカネをたくさん払える店がすごい」んです。
売れ行きのよいカードをきちんと見定め、それらのカードが絶対に品切れを起こさないように注意を払い、適正な値段を払って在庫をきちんと補充できる店が優秀なシングルカード販売店と言えます。本来のシングルカードの仕入れ価格というのは販売価格の3〜6割が適正なんですが、彼らは時には販売価格の9割以上を払うことすらあります。手間を考えたら完全に赤字ですが、それでも「在庫切れ」を起こすよりはマシなんです。
さて、ここで販売価格の3〜6割と聞いて「そんなに安いのか!」と憤る方も居るかと思います。
次回はそのあたりの事情を。
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(おまけ)
今回はネタがけっこうタイクツなので、プチおまけとしてクイズでも。
このブログの趣旨に則り、やはり「まともにマジックをやる上ではまったく役に立たない」クイズになってます。
【問題】
1つのフェイズ中に、マナ・バーンを2回以上起こすことは可能か?
可能ならその一例を。
【条件】
ヴィンテージ環境。
まぁ、クイズにするくらいなんだから可能なんですけどね。
ちなみに問題製作者は私じゃないです。遥か昔(ということは、遥か昔から可能だったんですねー)に某所で某MaRo氏が公開してたクイズです。「ひでぇ問題だ」という文句は同氏にドーゾ。MaRo氏が披露したクイズの中で、私が最も気に入っているものの1つです。
正解は来週にでも。
裏ってほどでもないけど。
ま、シングルカードの価格はプレイヤーの方にも影響が大きいだろうし、これはこれでマジックの事情の一つだとも、無理やり言おうとすれば言えない事もないです。とても強引な自分がたまに大好きです。
まぁ、まず最初に。
マジックの販売店の"マジック"に関するお仕事は、大きく分けて4つになります。
1) 未開封製品(パック、ボックス、その他)の販売
2) 関連商品(ライフカウンター、デッキケース等)の販売
3) シングルカードの販売
4) シングルカードの買取
「だから何?」と言われそうなほど当たり前のことですね。
ここで重要なのは1つだけです。シングルカードだけは仕入れ値を自由に決められるということです。
あ、「売値も決められるじゃん」と思った方。それは半分正しくて半分間違ってます。確かに売値も自由に決められると言えないこともないのですが、コレ意外と自分の思い通りにはできないんのです。
よく勘違いされていることでもあるので、ここで一度ハッキリ申し上げますと「カードの値段は、カードの強さで決まるのではありません」。イラストやレアリティで決まるのでもありません。もちろん、それらの要素が値段に大きく影響するのは確かです。しかし最終的にカードの値段を決めるのは『人気』、それ1つです。ダメなカードでも人気があれば値段はあがります。非常に強力なカードでも人気が少なければ値段はそこそこです。
前者の例としては、「イラストが人気」という例がわかりやすいと思います。あと「たくさんのデッキに使われるカード(例:多色土地)」も人気が高くなります。多少弱くてもね。
後者の例としては、「強いけどメタに合わない」や「強いけど、1つのデッキにしか使えない」というのがあります。タイムリーな話題としては、世界選手権で優勝したデッキのキーカードにも関わらず、相変わらず値段がパッとしないDragonstormなどがいい例でしょう。いまだ500円未満って。
話を整理しますと、こうなります。
a) 一般の製品は仕入れ値が一定。売値も同業他店とほぼ同じにしかできない。
b) シングルカードの価格を決めるのはあくまでも大衆(客)。店ではない。
c) ただし、仕入れ値は店次第。
(b)に関しては、やっぱり納得できない人も多いかもしれません。最終的に値段をつけてるのは店ですし。でも、それでもやはり「相場以上」の値段をつけたカードは売れ残り、たとえ売れたとしても「あの店は高い」という悪い評判という形でフィードバックしてきます。「相場以下」の値段をつければそりゃたくさん売れるでしょうが、今度は「在庫切れ」という最悪の形でツケがまわってきます。蛇足ですが、販売店にとって在庫切れは最悪の状態です。欲しい商品がない店に客はきません。いくら安いと評判の店でも、10回行って10回とも在庫切れでは、二度と行く気は起こらなくなるでしょう。多少高くても常に在庫のある店のほうが、客としては安心して足を運べます。
更に言うと、シングルの安売りをしている店はやはりシングルの買取価格も安いんです。そうするとそこで売ろうとする人は当然他より少なく、そのために商品の供給が滞るという事態を招くこともあります。その結果として、本当に皆が欲しがる一級カード・目玉商品が無い、ただゴミレアが安いだけの店と成り下がります。ウルザズサーガ〜メルカディアンマスクスの全盛期、日本でもマジックのシングルカード専門店が雨後の竹の子のようにぽっこぽっこ湧いた時期(特に東京・山手線沿線やネットショップ)がありましたが、そう言ったショップの7〜8割が既に名前も残ってないところを見ても、安売り大作戦は一時しのぎにしかならないことがわかるかと思います。…とは言っても、利用する客側としては美味しいカモなんですけどね。そういった「俺、カードたくさん持ってるからこれで商売しちゃおう! 他の店より安く売るぜ!」なチャレンジャーは。
ちなみに、ちょっと活躍しちゃったプロプレイヤーが「開店 → 最初だけ知り合いで賑わう → 数年足らずで閉店」のお決まりのパターンを踏むのはちょっとした風物詩、夏の花火のようなものですね。あぁ、あの人は今。
別パターンとしては「カードショップの店員 → こんな仕事でこんなに儲かるのなら俺っちもやるっち! → 独立 → 最初だけ(略) → 倒産」ってのもあります。マルチ商法とかにスグに引っかかりそうなタイプの人ですね。楽して儲かる仕事ナシ。
さて、また話が長くなりましたので、もう一度整理。
結局のところ、今回の話のキモは「シングルカード屋の良し悪しを決めるのは、カード買取価格」となります。とは言っても、決して「できるだけ安く買い叩ける店がすごい」ってワケじゃありません。むしろ真逆です。「カードにカネをたくさん払える店がすごい」んです。
売れ行きのよいカードをきちんと見定め、それらのカードが絶対に品切れを起こさないように注意を払い、適正な値段を払って在庫をきちんと補充できる店が優秀なシングルカード販売店と言えます。本来のシングルカードの仕入れ価格というのは販売価格の3〜6割が適正なんですが、彼らは時には販売価格の9割以上を払うことすらあります。手間を考えたら完全に赤字ですが、それでも「在庫切れ」を起こすよりはマシなんです。
さて、ここで販売価格の3〜6割と聞いて「そんなに安いのか!」と憤る方も居るかと思います。
次回はそのあたりの事情を。
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(おまけ)
今回はネタがけっこうタイクツなので、プチおまけとしてクイズでも。
このブログの趣旨に則り、やはり「まともにマジックをやる上ではまったく役に立たない」クイズになってます。
【問題】
1つのフェイズ中に、マナ・バーンを2回以上起こすことは可能か?
可能ならその一例を。
【条件】
ヴィンテージ環境。
まぁ、クイズにするくらいなんだから可能なんですけどね。
ちなみに問題製作者は私じゃないです。遥か昔(ということは、遥か昔から可能だったんですねー)に某所で某MaRo氏が公開してたクイズです。「ひでぇ問題だ」という文句は同氏にドーゾ。MaRo氏が披露したクイズの中で、私が最も気に入っているものの1つです。
正解は来週にでも。
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