エラーカードのお話:背面編
前回のエラーパックのお話が意外と好評だったのようなので、今回もエラーカードのお話です。

とは言っても、いまさら「沼ヌトン」やら「ブルーハリケーン」やらの、そこらへんの小学生でも知ってるような有名エラーカードについて話してもダレも喜ばないと思いますので、やっぱりちょっとディープなヤツを。有名系エラーの話が知りたい人はてきとーにググるといいと思います。「自分はいろいろ知ってるぜ!」系のコラム風自己満足文がたっくさんひっかかるのでそちらにお任せします。まぁ、サイトによって色々間違ってる部分が違って面白いですよ。サマーマジックの説明で「手違いでヨーロッパ方面にのみ発送された」「数ボックスしか存在しない」とか大嘘ですね。ホントにその程度ならあんなに出回るかっての。殆どのサマーはアメリカで見つかったものです。

さてディープなエラーと言いましてもいろいろありますので、今回は『カードの背面』についてお送りします。

背面のエラーには大きく分けて2種類ありまして、1つは「カードの背面がマジックのもの」で、もう1つが「カードの背面がマジックのものではないもの」となります。

1つめについては、これはフツーのエラーです。
たとえばカードの背面が上下逆のもの(ただ単に印刷時のシートを逆に入れただけ)、カードの背面の色が白黒なもの(背面アルビノですね)、カードの背面に「表面」が重ねて印刷されてるもの(ある意味どっちも表ですな)などなどです。ま、最初の一瞬は楽しいですが、けっこうタイクツなエラーです。両面表はいつみても楽しいですが。

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話が脇道に反れますが、マジックのカードをトーナメントで使用する場合、そのカードの表面の「カード名」の部分に書かれているモノが、その「カード」として扱われます。なんのこっちゃと思う人も居るかもしれませんが、ようするに「カード名=そのカード」です。たとえテキストにエラーがあろうが、イラストが他のものになっちゃってようが、カードの下半分が印刷されてないようなものだろうが、「カード名」が書かれているカードのオラクルに従って処理されます。

昔、某トーナメントで当時「nWo」と呼ばれた白緑主体のデッキを使ってるひとがいたのですが、その人のデッキに入ってる土地が全て「Plains」と「Wald」だったため、ジャッジから猛烈な勢いでツッコミいれられてました。(知らない人のために解説しますと、Waldはドイツ語版リバイズド黒枠の有名なエラーで、土地イラストが「平地」の『森』です)
…まあルール上は適正であり、ちゃんと「Forest」として扱われますが……こりゃある意味で「非紳士的行為」ですね。

ちなみに後日、その話を某レベル3ジャッジにしながら「んじゃエラーカードで、1つのカードに2枚が映り込んじゃってるヤツ(今日の日記トップ写真のようなヤツ)を使ったらどっちのカードになるんでしょう?」と聞きましたところ、

 「つ・か・う・な(怒」

という、非常に明確かつユーモラスな回答を頂きました。
こういうジャッジが大好きです。

追記:ちなみにルールに沿って正しく解釈した場合、本日のBlogトップにある画像のカードは「移り気なイフリート」となるハズです。だってそういうカード名が書いてるし)
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閑話休題。

さて、本日の本題。
「カードの背面がマジックのものではないもの」は、いわゆる「ワイバーン・エラー」などに代表されるもので、製造時に工場のミスにより他のカードゲームの背面が印刷されたシートを入れてしまったというものです。ワザとやってるんじゃないかと言いたくなるほどあり得ないミスなのですが、これが現実に起きちゃうのが面白いところ。現在までに3種類確認されてますので、今日はそれをご紹介。

■ワイバーン

超有名。
超人気ゲーム「まじっく」の背面が、超マイナー死にぞこ無いゲーム「わいばーん」になっちゃったという、栄えあるカード背面エラーの第一弾。印刷所は毎度お馴染みベルギーのCarta Mundiです。

「Wyvern」というゲームは1995年にU.S. Games Systemsから発売された、ドラゴンとお宝満載のトレーディングカードゲームです。最初はそこそこ売れてたようですが、末期には1ボックス10ドルくらいで叩き売りされても売れないほどの人気っぷりでした。

このエラーは、フォールンエンパイア/Fallen Empireの第三期印刷版(Fallen Empireは全部で4回印刷されてます。そんなに頑張らなくてよかったのにね)に発生したもので、報告されている限りではコモンシートにのみ発生した模様。1シートは11×11枚の121枚なので、全てのコモンにWyvernエラーの可能性があります。ちなみにこの121枚っていう数字は覚えとくと結構便利です。「なぜフォールンエンパイアに絵違いカードなんてものが存在したのか」とか「なぜアンコモン3とかコモン2とかいう変なレアリティが存在したのか」というのを理解するのにとっても役立ちます。

■ハリーポッター

最初に申し上げますが、画像がありません。
保存しておいたハードディスクが2年ほど前にクラッシュしました。
いまにしてなお、最も悔やまれるデータの1つです。

「Harry Potter」トレーディングカードゲームは、映画や小説で大人気のハリーポッター君がカードゲームでも大暴れといったゲームです。しかしながらカードのイラストが、あろうことか小説版のあのへなへなな感じを見事に再現してしまったため、映画版のダニエル・ラドクリフやエマ・ワトソンを期待して買ったプレイヤーの夢と希望を粉みじんにしてしまったため、誠に遺憾な人気となり、あっという間に市場からremove from the gameされてしまったゲームです。存在を覚えてても今後一生役に立ちません。

しかしながら、この「カード背面がハリッポッター」になってしまったインベイションの構築済みデッキはオークションで大変好評を期し、最終的に150万円以上の高額で落札されたと記憶しています。
ただその際の商品画像は現在ネット上のどこを探しても無く、かのMagic Salvationの面々を持ってして「Harry Potter-Backのミスを繰り返してはならない」と言われるほどのものとなっています。オークションに登場したのは約6年ほど前なのですが……このブログの読者の方で、誰か画像保存してませんかね?

■ポキモン

日本語でポケモン・英語発音だとポッキモーンの、例の黄色ネズミです。
もうそろそろみなさんの記憶からも消失されたころかもしれませんが、まあ一時期は世界中で大流行したもんですよ。「光宇宙」と書いて「ぴかちゅう」と読ませる、今後半世紀に渡って後悔しそうな名前を付けられた可哀想な赤ちゃんも居たくらいです。実話です。

このポケモン(正しい表記に直しました)カード背面のマジックカードが世間に知られたのは、実に2006年8月。まだ半年も経ってません。
とあるコレクターが「PokeMon背面のインベイション構築済みのアンカットシートを入手した」と掲示板で報告したんですね。彼は支払った金額は明かしませんでしたが、ま、安いものではないでしょう。

このシートも11×11枚の121枚でして、完全なアンカットシートの形での入手だそうです。
ま、工場流出ですね。間違いなく。

工場流出はマジックの黎明期から問題となってるのですが、未だにぽつぽつと登場しますね。
ま、流出モノはどれもコレクターの目をたいへん楽しませてくれるので、個人的には大歓迎ですが。

次回は「流出」の話でもしようかしらん?

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