同人セットとトークン: その2
2007年3月22日コメント (4)
トークンのお話、第二回目。
WoC社が褒賞トークンを作る一因ともなったというのは前回もお話しましたが、このトークンに関連する逸話は、他にも以下のようなものがあります。
ちなみに前回から繰り返し出ております「WoC社が褒賞トークンを作る一因ともなった」という一文ですが、丸っきり推測というわけではなく、ちゃんとある程度の情報ソースがある話となっております。なんでも、例の褒賞トークンカードがまだ配布される前に、このCrazy Clowns製作者のもとに某極東アジアの島国でかつてLv3だったお偉いジャッジから、「非公式」な形で「今度公式のトークンカードが配布されるから」と情報が行ったとか行かなかったとか。これが情報リークにあたるのか当たらないのかは、某ジャッジに直接聞くといいんじゃないかな。日本語話せますし。
まぁいろいろとありえない同人トークンなんです。それがMinagishiトークン。
知っておいてソンはないですよ。得も多分無いけど。
さて、じゃあ続きを行って見ましょうか。
まともにマジックをしていく上ではまったく役に立ちませんが、これからトークンやら同人セットを作ろうと企んでるやんちゃ坊主には実のある話となると思いますよ。
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■カード名
カード名は単純に「Goblin Token」とか「Zombie Token」となっています。
微妙です。「Token」というのは通常「代用紙幣」とか「代用硬貨」と言った意味でして、いわゆるカジノのチップや、NYの地下鉄に乗る際のチケットなどに使われる言葉です。これを「カードでは無い形で、パーマネントとして場に残るもの」の名称として使うのは……どうなんでっしゃろ? 微妙です。
なおトークンの中にはマジック用語である「マイア」や「カルドラ」などもあり、Crazy Clownsではそれもトークンカード化してますが、名称はそれぞれ「Mトークン」「Kトークン」となっています。理由は推測にお任せです。
■カードテキスト
能力を持つもののみ書いてあります。「Flying」とか。
正直、これは著作権にひっかかるかどうかはビミョーでしょう。セーフのラインだとは思いますがね。
でもそれがマジックの専門用語になるとアウトになりそう。「Landcycling」とかヤバげ。そんな英単語ないし。
ちなみに「タップ」という言葉を「カードを横向きにする」という用途で使うと、それだけでアウトです。タップシンボルなんて使った日には、ダブルプレーです。
■フレイバーテキスト
Crazy Clownsトークンを、公式のカードと間違わせた要因・その2です。ちなみにその1はカードデザインです。どこにも書きませんでしたけど。
とても秀逸です。
シェイクスピアや聖書からの引用、そしてたまにジョーク。マジックのフレイバーとして、いかにも「ありそうな」チョイスとなっています。
しかし、
これがわかる世代はもうおっさんですか。そうですか。
■カードバック(カード背面)
もっとも変化を遂げた部分です。
「ナニがOKで、ナニがダメ」というのを簡潔に表している部分でもあります。
当初、Crazy Clownsトークンの背面はただの真っ白でした。両面印刷はコストかかるしね。
ちなみにこのカードバックは合計で4回ほど変わっておりますが、それが偶然にも「最初は白、あとからイラスト付き」になったため、この発行枚数が少ない初期の「カードバックが白」のものは、あろうことか海外オークションで「アーティストプルーフ」として高値がついていたりします。私が実際に見たもので$30.00とか平気でついてました。ツッコミどころが多すぎて、どこからいけばいいものやら。
さて。
最初が白だったカードバックですが、それが第6弾となる2000年8月(夏、ですな)に発行されたバージョンから、背面にでっかい星マークと「Token」と書かれたものとなります。売れ行きが良くて予算ができたのですかね? それとも、この弾に含まれていた天使、コピーカード、リス、苗木トークンの4種類のうち、リスと苗木の2種は過去に販売されたものからの再録だったため、その差別化だったのかもしれません。
ま、ここまではOKでした。
問題となるのは第7弾。この弾から、カードバックが「Magic the Gathering Token Card」となりました。それまでも、トークン同梱の解説書にはMagicの名前が入ってましたが、この弾よりマジックの名前をカードそれ自身に入れちゃったんです。これがまずかったのでしょう。第10弾ではカードバックは再び白紙に戻り、第11段(それにしてもずいぶん出てるなあ)からは「Crazy Clowns」の文字と、同サークルのシンボルでもある道化師のイメージイラストとなりました。
ここから学べるのはとてもわかりやすい教訓。
「Magic the Gathering」の文字は入れちゃダメ。
入れるとすれば「この商品はMagic the GatheringおよびWizards of the Coast社が製造・配布したものではありません」という形ならOKです。これ、日本だとこの形で名前を出すのもクレームつくことがあるんですが、アメリカではOKなんです。へー。
■パワー&タフネス
ま、そもそも。
「カードの右下部分にパワー/タフネスがある」というそれ自体が、マジックのカードのデザインの一部です。「書いたらアウト」ではないかもしれない。でも「書かない」に越したことはないです。
デザインの各部分を「これでもかー」と言わんばかりにいじりまくったMiddle Agesも、結局販売禁止&回収命令が出ましたし、ね。
■訴訟
おっと、いきなりヘビーな話題。
ま、でもこれまで散々「ここがアウト」とか書いてきましたので、気になってる方も多いでしょう。
結論から言うと、このCrazy Clownsは訴訟沙汰にはなりませんでした。ただし、製作者のJさんのもとには「非公式」な形で警告が行ったそうです。そして平和的な話し合いの元、Jさんは「今後一切、マジックの著作権を侵害しているカードは販売しない」という条件の下で合意。過去に製作したすべてのトークンを含め販売を中止し、当時運営していたウェブサイト(まだ跡地はあるので、ヒマでヒマで仕方がないひとはぐぐればいいと思うの)からも画像をすべて撤廃しました。
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ちなみに、その後製作者Jさんはマジックにもトークンにも関わることはなくひっそりとマジック界から……消えたりは全然しませんでしたね。Jさん、まだとても精力的に活動を続けておられるようです。というか、ネット上でぽんぽん見かける名前ですので、知ってる人も多いんじゃないでしょうか。
トークンカードについてももう2度と製作しないかと思いきや、逆に「マジックの著作権を侵害しないカード」を目指して、改良に改良を加え、以前にも増したクオリティのカードを作り続けています。また、かつては「著作権違反のトークン作成」やそのスタンスのため「WoC社&Hobby Japan社から最も睨まれてる日本人」の1人であったのは間違いないと思うのですが、現在はすっかり改心(?)し、DCI公認ジャッジの資格まで取っちゃってます。
DCIの公認ジャッジ試験には「実技」と「面接」がありますので、話を聞いたとき「そりゃ絶対面接で落ちるだろー」と思ったのですが……WoC社も案外ココロが広いのかもしれません。
WoC社が褒賞トークンを作る一因ともなったというのは前回もお話しましたが、このトークンに関連する逸話は、他にも以下のようなものがあります。
・同人セットのくせに、模造品まで作られた。
・同人セットのくせに、オークションにアーティストプルーフ(実際は裏が白いバージョンというだけ)が出品され、高値で落札。
・海外からディーラーが、わざわざこのカードを求めて来日。
・このトークンを店に並べてた海外ショップが、WoC社から警告を喰らった。
ちなみに前回から繰り返し出ております「WoC社が褒賞トークンを作る一因ともなった」という一文ですが、丸っきり推測というわけではなく、ちゃんとある程度の情報ソースがある話となっております。なんでも、例の褒賞トークンカードがまだ配布される前に、このCrazy Clowns製作者のもとに某極東アジアの島国でかつてLv3だったお偉いジャッジから、「非公式」な形で「今度公式のトークンカードが配布されるから」と情報が行ったとか行かなかったとか。これが情報リークにあたるのか当たらないのかは、某ジャッジに直接聞くといいんじゃないかな。日本語話せますし。
まぁいろいろとありえない同人トークンなんです。それがMinagishiトークン。
知っておいてソンはないですよ。得も多分無いけど。
さて、じゃあ続きを行って見ましょうか。
まともにマジックをしていく上ではまったく役に立ちませんが、これからトークンやら同人セットを作ろうと企んでるやんちゃ坊主には実のある話となると思いますよ。
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■カード名
カード名は単純に「Goblin Token」とか「Zombie Token」となっています。
微妙です。「Token」というのは通常「代用紙幣」とか「代用硬貨」と言った意味でして、いわゆるカジノのチップや、NYの地下鉄に乗る際のチケットなどに使われる言葉です。これを「カードでは無い形で、パーマネントとして場に残るもの」の名称として使うのは……どうなんでっしゃろ? 微妙です。
なおトークンの中にはマジック用語である「マイア」や「カルドラ」などもあり、Crazy Clownsではそれもトークンカード化してますが、名称はそれぞれ「Mトークン」「Kトークン」となっています。理由は推測にお任せです。
■カードテキスト
能力を持つもののみ書いてあります。「Flying」とか。
正直、これは著作権にひっかかるかどうかはビミョーでしょう。セーフのラインだとは思いますがね。
でもそれがマジックの専門用語になるとアウトになりそう。「Landcycling」とかヤバげ。そんな英単語ないし。
ちなみに「タップ」という言葉を「カードを横向きにする」という用途で使うと、それだけでアウトです。タップシンボルなんて使った日には、ダブルプレーです。
■フレイバーテキスト
Crazy Clownsトークンを、公式のカードと間違わせた要因・その2です。ちなみにその1はカードデザインです。どこにも書きませんでしたけど。
とても秀逸です。
シェイクスピアや聖書からの引用、そしてたまにジョーク。マジックのフレイバーとして、いかにも「ありそうな」チョイスとなっています。
しかし、
Nobody can get dream, because it’s wing of heart.
-Pegasus Fantasy
(ペガサストークンのフレイバーより引用)
これがわかる世代はもうおっさんですか。そうですか。
■カードバック(カード背面)
もっとも変化を遂げた部分です。
「ナニがOKで、ナニがダメ」というのを簡潔に表している部分でもあります。
当初、Crazy Clownsトークンの背面はただの真っ白でした。両面印刷はコストかかるしね。
ちなみにこのカードバックは合計で4回ほど変わっておりますが、それが偶然にも「最初は白、あとからイラスト付き」になったため、この発行枚数が少ない初期の「カードバックが白」のものは、あろうことか海外オークションで「アーティストプルーフ」として高値がついていたりします。私が実際に見たもので$30.00とか平気でついてました。ツッコミどころが多すぎて、どこからいけばいいものやら。
さて。
最初が白だったカードバックですが、それが第6弾となる2000年8月(夏、ですな)に発行されたバージョンから、背面にでっかい星マークと「Token」と書かれたものとなります。売れ行きが良くて予算ができたのですかね? それとも、この弾に含まれていた天使、コピーカード、リス、苗木トークンの4種類のうち、リスと苗木の2種は過去に販売されたものからの再録だったため、その差別化だったのかもしれません。
ま、ここまではOKでした。
問題となるのは第7弾。この弾から、カードバックが「Magic the Gathering Token Card」となりました。それまでも、トークン同梱の解説書にはMagicの名前が入ってましたが、この弾よりマジックの名前をカードそれ自身に入れちゃったんです。これがまずかったのでしょう。第10弾ではカードバックは再び白紙に戻り、第11段(それにしてもずいぶん出てるなあ)からは「Crazy Clowns」の文字と、同サークルのシンボルでもある道化師のイメージイラストとなりました。
ここから学べるのはとてもわかりやすい教訓。
「Magic the Gathering」の文字は入れちゃダメ。
入れるとすれば「この商品はMagic the GatheringおよびWizards of the Coast社が製造・配布したものではありません」という形ならOKです。これ、日本だとこの形で名前を出すのもクレームつくことがあるんですが、アメリカではOKなんです。へー。
■パワー&タフネス
ま、そもそも。
「カードの右下部分にパワー/タフネスがある」というそれ自体が、マジックのカードのデザインの一部です。「書いたらアウト」ではないかもしれない。でも「書かない」に越したことはないです。
デザインの各部分を「これでもかー」と言わんばかりにいじりまくったMiddle Agesも、結局販売禁止&回収命令が出ましたし、ね。
■訴訟
おっと、いきなりヘビーな話題。
ま、でもこれまで散々「ここがアウト」とか書いてきましたので、気になってる方も多いでしょう。
結論から言うと、このCrazy Clownsは訴訟沙汰にはなりませんでした。ただし、製作者のJさんのもとには「非公式」な形で警告が行ったそうです。そして平和的な話し合いの元、Jさんは「今後一切、マジックの著作権を侵害しているカードは販売しない」という条件の下で合意。過去に製作したすべてのトークンを含め販売を中止し、当時運営していたウェブサイト(まだ跡地はあるので、ヒマでヒマで仕方がないひとはぐぐればいいと思うの)からも画像をすべて撤廃しました。
-------------------------------------------------------------------------------------------
ちなみに、その後製作者Jさんはマジックにもトークンにも関わることはなくひっそりとマジック界から……消えたりは全然しませんでしたね。Jさん、まだとても精力的に活動を続けておられるようです。というか、ネット上でぽんぽん見かける名前ですので、知ってる人も多いんじゃないでしょうか。
トークンカードについてももう2度と製作しないかと思いきや、逆に「マジックの著作権を侵害しないカード」を目指して、改良に改良を加え、以前にも増したクオリティのカードを作り続けています。また、かつては「著作権違反のトークン作成」やそのスタンスのため「WoC社&Hobby Japan社から最も睨まれてる日本人」の1人であったのは間違いないと思うのですが、現在はすっかり改心(?)し、DCI公認ジャッジの資格まで取っちゃってます。
DCIの公認ジャッジ試験には「実技」と「面接」がありますので、話を聞いたとき「そりゃ絶対面接で落ちるだろー」と思ったのですが……WoC社も案外ココロが広いのかもしれません。
コメント
調べてみたら3年前の夏だったから改心(?)したあとなんでしょうが。
J氏のブログに掲載されていた警告の概要とその後の顛末を見た限りでは、米国企業としては警告と言えないくらい軽いレベルの対応だったようですし。
あっちの企業は挨拶代わりに訴訟というレベルですから……。
まあ、タップシンボル、マナシンボル及び"Magic;the Gathering"という名称は米国で商標登録されているので、WoC社のものではないと明示する以外の目的でこれらを使うと言い逃れのできないクロになってしまいますが。
話のつまみにどうぞ。
http://jfk.magic.asuka.net/
こういう形で反応が得られるのは嬉しい限りです。
http://d.hatena.ne.jp/cdc/20070323
http://d.hatena.ne.jp/cdc/20070326
彼の「イラストカード」は黒歴史ではないですが、確実に歴史を変えたものであると思ってます。
>某ジャッジサイト
あれは私もみてびっくりしました。ジャッジが載せちゃっていいのかな、と。
>訴訟云々
なるほど。勉強になります。
ちなみに私も、その挨拶代わりで某CCGをアメリカで販売してる某社から訴えられたことあります。すごいてきとーな濡れ衣で。
…で、きっちり証拠揃えて「これはこーいうものです。日本できちんと発売されてるものなんです」と説明したら、あっさり取り下げられました。てきとーだなあ。
>JFK様
尊敬するJFK様よりコメントを頂くなど光栄の至りであります。じつは以前にミドルエイジの記事を書く際にも、そちらの翻訳をちょこちょこ参考にさせていただきましたであります。
本日のランチタイムにじっくり読ませていただきます。ありがたやー。