以前のエントリー(ジャッジうんぬん)の続きと言える内容なので、いきなりきちゃった方はまず前回のエントリーをどうぞ。「見たけど忘れた」という不届きな御方は、クラムチャウダーで顔洗って出直すといいざんす。



ある時期、ルールの不備によってものすごく簡単に無限コンボができ、1〜2ターンキルがあたりまえというデッキが登場しました。俗に「ヨーグモス・ドレイン」やら「ヨーグモス・リチュアル」と呼ばれるデッキです。

キーカードは「暗黒の儀式/Dark Ritual」と「ヨーグモスの意思/Yawgmoth’s Will」の2枚。
ウルザズ・サーガの時代ですね。時期としては1999年の4月前後。第6版の発売&ルールの変更が決まり、ルールについての見直しがされていた時期です。
なお補足いたしますと、当時のカードテキストは以下のような感じでした。

「暗黒の儀式/Dark Ritual」
マナソース
あなたのマナプールに黒黒黒を加える。


「ヨーグモスの意思/Yawgmoth’s Will」
ソーサリー

ターン終了時まで、あなたはあなたの墓地にあるカードを、あなたの手札にあるかのようにプレイしてもよい。 その代わり、このターンにあなたの墓地に置かれたカードは、ゲームから取り除かれる


当時は6版ルールが試行されていましたので「スタック」が完全に導入されていましたが、印刷されていたカードは「マナソース」のままでした。これは当然「インスタント」と読み替えることとなるのですが、このあたりの危険性が完全に認識されないままルール再整備が行われてしまった模様です。


このデッキの主な動きは…

■1ターン目:
・セット沼

■2ターン目:
・セット沼
・沼2つタップして(黒)(黒)をゲット。
・(黒)を使って「暗黒の儀式」。マナプールに(黒)(黒)(黒)(黒)。
・3マナを使い「ヨーグモスの意思」をプレイ。マナプールに(黒)残り。


…ここまでは正常です。問題はここから。

1) ヨーグモスの意思によって墓地にあるカードを、あなたの手札にあるかのようにプレイできるので、墓地に一枚だけある「暗黒の儀式」をプレイ。スタックに乗る。

2) スタックの1番上を解決 → 暗黒の儀式。(黒)(黒)(黒)をゲット。

3) 暗黒の儀式が墓地に置かれるので、「それをゲームから取り除く」がスタックに詰まれる。


…で、こっからが異次元。

4) そのスタックにレスポンスして、たったいま墓地に置かれた「暗黒の儀式(スタックが解決したらリムーブされる予定)」をプレイ。

5) 解決。(黒)(黒)(黒)をゲット。

6) (3) に戻る。

7) 666マナくらい貯まって満足したら、全てのスタックを解決。大量の「それをゲームから取り除く」が失敗するも、なにも起こらずそのまま続行。

8) おもむろにX火力。主に「生命吸収/Drain Life」。


終了。

3枚のカードがあるだけで勝てるので、ありったけのサーチ手段とマリガンを駆使すれば2〜3ターンで安定して人が死にます。テンペストブロックにMox DiamondとかLotus Petalなんていうたわけたアーティfuckトもあるので、1ターンキルもけっこう楽勝。


問題なのは、このものすごくウソくさい動きが、当時のルール下では完全に合法なんです。
ウルザブロック時期(タイミング的にはウルザズ・レガシーの時期)は、ちょうどカードの処理解決のプロセスが以前の「リンボ」「チェーン」という概念から現在の「スタック」に改定された時期にあたるのですが、その隙間をつくようにしてできたダッキが上のものです。あまりにも大きなルール改正だったため、カード効果の訂正に穴(具体的に言うと、ヨーグモスの意思のテキストがいけない。一瞬でも墓地に置いたら、それを取り除く前に再度使えちゃうんです)があったんですね。


ちなみにこの時期は毎月のようにオラクルが改正(第六版ルール対応に)されていたため、毎月のようにありえない効果を持つカードがトーナメントに登場した時期でもあります。

一例をあげると、The Abyssが対象を取らなくなったり(「対象を埋葬」だったかも)、修正されたかと思いきや今度はアーティファクト・クリーチャーまでも皆殺しにし始めたり、それはまさに地獄絵図。他のカードにしても、急に強くなったかと思えば、次の更新でまた弱く戻り、カードを手放した頃にまたちょっと強くなってたりと、大迷走してました。

「インタラプト」が「インスタント」に統合されたのもこの時期なので、カード効果に「インタラプト」の文字がある全てのカードは「強くなる」か「弱くなる」の2択となり、戦々恐々でもありました。ちなみにコレは結局「対象のインタラプト」と書かれたカードが殆ど強化されたのに対し、「インタラプトとして扱う」と書かれたカードは全て弱体化したと考えていいようです。そういえば、発売されたばかりの「Hidden Gibbons / 隠れたるテナガザル」が当時「カウンター対策になる!」と注目されかけたのが、いま走馬灯のように脳裏をよぎりました。あの頃は、みな誰もがある種の夢を見ていたものです。たいてい幻に終わりましたが。


「ボガーダンの金床」を握り締めて毎月ワクテカしてたのも、今はいい思い出(すげぇ弱くなりました)。

コメント

白居易
2007年3月30日14:53

コメント失礼します。
勝手ながらリンクを張らせていただきました。
ご無礼をお許しください。

零
2007年4月13日8:24

これはこれはご丁寧にー。

リンクは大歓迎ですよ〜。誰かに読んでもらいたくて書いてるワケですから。
ご期待に答えられるように頑張る所存なのですが、とりあえずFuture Sightが発売してくれないと、やりにくくって仕方ない orz
零

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