間違いイラストの数々
2007年4月26日コメント (2)
2週に渡って前フリしましたイラストレーター・ネタ。
イラスト関係の話はいろいろとあるのですが、有名なのはもう誰もが知ってる(例:Birds of Paradiseのイラストは、実は基本地形のIslands用に描かれたものだった)でしょうし、マイナーすぎるものは本当にダレも知らない(例:Mana Drainに描かれているイラストって何だよ?)ので、なかなかに線引きが難しく。
とりあえず今回は間違って描いちゃったイラスト特集です。
トップバッターは、前回のクイズに登場したUrza’s Mineから〜
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Urza’s Mine
[アンティキティ]
まずは前回予告しました「地雷/Mine」イラスト。
私の知ってる限りで、一番ビッグな勘違いです。ちなみにイラストは当然のごとくボツになりましたので、いまこのイラストをマジックのカード上で見ることはありません。当然WoC社のデータベースにもありませんので、私の秘蔵のデータコレクションからブログトップに貼り付けです。
Mineという英単語は「鉱山・採掘坑」と「地雷」の2つの意味がありますので、どちらの意味として取るかは文脈から判断しなければなりません。しかし、特別に「地雷」を指す場合にはlandmineという言い方をすることもできるので、恐らくイラストを依頼したほうからすれば「Mine = 鉱山」で当たり前だったのでしょう。
まぁでも、アンティキティという「アーティファクト = 魔力のこもった道具」が主役のセットでMineと言われたら、そりゃ「地雷」を思い浮かべてもムリはないです。しかも人名付きだったら、ソレを「ウルザさんが開発した特別な地雷」と「ウルザさんの所有する鉱山」のどちらと考えるかといえば……ま、これはアーティストは悪くないと思います。せっかく描いたのにね、イラスト。
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Onulet
[アンティキティ]
Anson Maddocks氏、再び。そしてアンティキティも再び。
この時期は本当に、連絡が不行き届きだったのですかねえ。
このカード、元々は「Onulets」です。複数形。
なんでわざわざ複数形の必要があるかというと、このカード自体が「Soul Net / 魂の網」のアナグラムになっているからです。「クリーチャーが墓地におかれたらライフゲイン」のSoul Netに対し、「自分が墓地におかれたらライフゲイン」のクリーチャーというワケだったんですね。
ところが完成したイラストには「Onulet」1体がぽつねん、と。
複数形じゃないと意味がないのに。
仕方なく、カード名を変えられたという不遇なカードです。
そこまで思い入れられて作られたのに、ダレもゲームで使ってくれないしね。
http://resources.wizards.com/Magic/Cards/AQ/en-us/Card1015.jpg
ちなみにこの「Onulet」が大きくなったバージョンとも言える「Anodet Lurker / 潜むエイノデット」は、「Darker Onulet(ちょっとワルめのオニュレット)」のアナグラムになってます。とことんどーでもいい小ネタですが。
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Feldon’s Cane
[アンティキティ]
またアンティキティです。本当に多いな、このセットは。
今度の犠牲者(犯人?)は Mark Tedin氏。最古参の1人にして、今尚素晴らしいイラストを描き続けるアーティストです。
古いマジックのセット(アルファ、アンラビアンナイト、アンティキティ)には、マジックの関係者の内輪ネタやお遊びがたくさんカード名になっているのですが、これもその一つ。元々はスタッフの1人にして、テストプレイに大きく貢献した「Don Felice」氏の名前のアナグラムで「Feldon’s Ice Cone」という名前のカードでした。見ての通り、Fel+Don+iceがそのまま氏の名前の並び替えで、しかもConeも氏の名前に使われている文字だけで構成されているという、見事なアナグラム。
しかしできあがったイラストは……「Cane」。
惜しいっ、一文字違い!
「Cone」は円錐。もしくは円錐型の帽子。
「Cane」は細いステッキ。
察するに、当時はアーティストにイラストを依頼する際に、カードのフルネームを含む詳細は連絡してなかったなかったんでしょうね。「Cone(円錐)のイラスト1枚描いてー」「オッケー!」なノリで。
氷のステッキじゃ折れるだろ、ってことで、哀れDon Felice氏のカードは変更を余儀なくされることに。
ちなみに彼はその後Fallen Empireでようやく「Delif’s Cone」として登場しましたが、このカードがプレイヤーにどのような扱われ方をされたかは言うまでもなく。
http://resources.wizards.com/Magic/Cards/AQ/en-us/Card1006.jpg
http://resources.wizards.com/Magic/Cards/FE/en-us/Card1830.jpg
重ね重ね、哀れ。
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Hyalopterous Lemure
[アイスエイジ]
絵師の勘違いカードの代表格。
カード名が示す「Lemure」は、ローマ神話に登場する死霊・レムルースです。通常は複数扱いで「Lemures」となりますね。ま、黒のカードに相応しいクリーチャーといえます。
ところが、その依頼に対して絵師のRichard Thomasが書いたのは、あろうことか「Lemur(キツネザル)」でした。猿かよ!
で、結局そのサルが黒のクリーチャーとなるべく大変な努力をした結果、背中に羽が生えた奇怪なサルが樹にしがみついた絵図という、大変理解に苦しむが、なんか愛嬌のあるイラストが誕生しました。てか、そんなに苦労する前に、もう一度依頼されたカードのスペルを確認しようよ、と。字違うし。
http://resources.wizards.com/Magic/Cards/IA/en-us/Card2457.jpg
カード名から「s」を取ったのは、本当に苦肉の策だったのでしょうねぇ。
Onulets事件の時と同じく、1体しか描かれてませんし。
って、ということは、ダブルでミスってますね。このイラスト。
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イラスト関係ネタは、他にも…
・何が描いてるのかわかんないカードの真実
・アーティストが仕掛けたイタズラの数々
・様々な理由でボツになったカード
・思わずツッコミを入れたくなるイラスト
・様々な理由でクビになったアーティスト
・逆に、Wizardsと絶縁宣言をしたアーティスト
などなど、実に多彩。
2週にも渡って前フリに費やすだけあって、なかなかの燃料が揃っております。
さーて、どれから書こうかなあ。
イラスト関係の話はいろいろとあるのですが、有名なのはもう誰もが知ってる(例:Birds of Paradiseのイラストは、実は基本地形のIslands用に描かれたものだった)でしょうし、マイナーすぎるものは本当にダレも知らない(例:Mana Drainに描かれているイラストって何だよ?)ので、なかなかに線引きが難しく。
とりあえず今回は間違って描いちゃったイラスト特集です。
トップバッターは、前回のクイズに登場したUrza’s Mineから〜
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Urza’s Mine
[アンティキティ]
まずは前回予告しました「地雷/Mine」イラスト。
私の知ってる限りで、一番ビッグな勘違いです。ちなみにイラストは当然のごとくボツになりましたので、いまこのイラストをマジックのカード上で見ることはありません。当然WoC社のデータベースにもありませんので、私の秘蔵のデータコレクションからブログトップに貼り付けです。
Mineという英単語は「鉱山・採掘坑」と「地雷」の2つの意味がありますので、どちらの意味として取るかは文脈から判断しなければなりません。しかし、特別に「地雷」を指す場合にはlandmineという言い方をすることもできるので、恐らくイラストを依頼したほうからすれば「Mine = 鉱山」で当たり前だったのでしょう。
まぁでも、アンティキティという「アーティファクト = 魔力のこもった道具」が主役のセットでMineと言われたら、そりゃ「地雷」を思い浮かべてもムリはないです。しかも人名付きだったら、ソレを「ウルザさんが開発した特別な地雷」と「ウルザさんの所有する鉱山」のどちらと考えるかといえば……ま、これはアーティストは悪くないと思います。せっかく描いたのにね、イラスト。
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Onulet
[アンティキティ]
Anson Maddocks氏、再び。そしてアンティキティも再び。
この時期は本当に、連絡が不行き届きだったのですかねえ。
このカード、元々は「Onulets」です。複数形。
なんでわざわざ複数形の必要があるかというと、このカード自体が「Soul Net / 魂の網」のアナグラムになっているからです。「クリーチャーが墓地におかれたらライフゲイン」のSoul Netに対し、「自分が墓地におかれたらライフゲイン」のクリーチャーというワケだったんですね。
ところが完成したイラストには「Onulet」1体がぽつねん、と。
複数形じゃないと意味がないのに。
仕方なく、カード名を変えられたという不遇なカードです。
そこまで思い入れられて作られたのに、ダレもゲームで使ってくれないしね。
http://resources.wizards.com/Magic/Cards/AQ/en-us/Card1015.jpg
ちなみにこの「Onulet」が大きくなったバージョンとも言える「Anodet Lurker / 潜むエイノデット」は、「Darker Onulet(ちょっとワルめのオニュレット)」のアナグラムになってます。とことんどーでもいい小ネタですが。
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Feldon’s Cane
[アンティキティ]
またアンティキティです。本当に多いな、このセットは。
今度の犠牲者(犯人?)は Mark Tedin氏。最古参の1人にして、今尚素晴らしいイラストを描き続けるアーティストです。
古いマジックのセット(アルファ、アンラビアンナイト、アンティキティ)には、マジックの関係者の内輪ネタやお遊びがたくさんカード名になっているのですが、これもその一つ。元々はスタッフの1人にして、テストプレイに大きく貢献した「Don Felice」氏の名前のアナグラムで「Feldon’s Ice Cone」という名前のカードでした。見ての通り、Fel+Don+iceがそのまま氏の名前の並び替えで、しかもConeも氏の名前に使われている文字だけで構成されているという、見事なアナグラム。
しかしできあがったイラストは……「Cane」。
惜しいっ、一文字違い!
「Cone」は円錐。もしくは円錐型の帽子。
「Cane」は細いステッキ。
察するに、当時はアーティストにイラストを依頼する際に、カードのフルネームを含む詳細は連絡してなかったなかったんでしょうね。「Cone(円錐)のイラスト1枚描いてー」「オッケー!」なノリで。
氷のステッキじゃ折れるだろ、ってことで、哀れDon Felice氏のカードは変更を余儀なくされることに。
ちなみに彼はその後Fallen Empireでようやく「Delif’s Cone」として登場しましたが、このカードがプレイヤーにどのような扱われ方をされたかは言うまでもなく。
http://resources.wizards.com/Magic/Cards/AQ/en-us/Card1006.jpg
http://resources.wizards.com/Magic/Cards/FE/en-us/Card1830.jpg
重ね重ね、哀れ。
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Hyalopterous Lemure
[アイスエイジ]
絵師の勘違いカードの代表格。
カード名が示す「Lemure」は、ローマ神話に登場する死霊・レムルースです。通常は複数扱いで「Lemures」となりますね。ま、黒のカードに相応しいクリーチャーといえます。
ところが、その依頼に対して絵師のRichard Thomasが書いたのは、あろうことか「Lemur(キツネザル)」でした。猿かよ!
で、結局そのサルが黒のクリーチャーとなるべく大変な努力をした結果、背中に羽が生えた奇怪なサルが樹にしがみついた絵図という、大変理解に苦しむが、なんか愛嬌のあるイラストが誕生しました。てか、そんなに苦労する前に、もう一度依頼されたカードのスペルを確認しようよ、と。字違うし。
http://resources.wizards.com/Magic/Cards/IA/en-us/Card2457.jpg
カード名から「s」を取ったのは、本当に苦肉の策だったのでしょうねぇ。
Onulets事件の時と同じく、1体しか描かれてませんし。
って、ということは、ダブルでミスってますね。このイラスト。
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イラスト関係ネタは、他にも…
・何が描いてるのかわかんないカードの真実
・アーティストが仕掛けたイタズラの数々
・様々な理由でボツになったカード
・思わずツッコミを入れたくなるイラスト
・様々な理由でクビになったアーティスト
・逆に、Wizardsと絶縁宣言をしたアーティスト
などなど、実に多彩。
2週にも渡って前フリに費やすだけあって、なかなかの燃料が揃っております。
さーて、どれから書こうかなあ。
コメント
イラスト関係に興味があるので、続きを楽しみにしています。
WoC社がもっているイメージと、アーティストがもつイメージが全く同じことになるほうが少ないと思いますので、その辺の連絡がまだしっかりとしていなかった古いカードには「なんでこんなイラストに?」といったカードがかなりありますね。
個人的な趣味として、そういうカードをアーティスト本人に「これはなんでこうなったの?」と聞き、彼らの話を伺うのが好きです。なかなか興味深い話も聞けることがあるので、機会があればここで紹介したいですね。