「アン」シリーズの話
ま、とりあえず前回お約束したイラストのご紹介から。

こちらのイラストが、本来「Keeper of the Mind」のために描かれたものです。実際に印刷されたカードと見比べると、かなり印象が異なると思います。参考までに実際のカード画像はコチラ。

http://resources.wizards.com/Magic/Cards/EX/en-us/Card6064.jpg

上半身だけのトリミングかと思いきや、脚の部分までもがざっくり削除されているのがおわかりいただけるかと。要するに、このポーズがダメというわけでしょう。ま、わからんでもないですが。
ちなみにこのイラストは、アーティスト本人に原画をプリントしてもらいました。マジックのアーティストは、けっこうこういうのに気軽に応じてくれますので、大好きなアーティストさんとかが居ましたら挑戦してみてはどうでしょう? つたない英語であってもいいんです。丁寧に頼めば、気持ちは伝わります(たまにはいいこと言うblogです)

さて。

アングルード&アンヒンジドは、ネタの宝庫であります。
しかしこれらの「ネタ」は、多分に内輪ネタが含まれておりますため、事情を知らない人にはちんぷんかんぷんなものも多々あります。

今回はちょっとその辺のお話を。

まず手始めに「Censorship」。
前回もお話しましたように、上の「Keeper of the Mind」の検閲具合を示したカードです。隠せと。とにかく隠せと。アーティスト名までついでに隠せと。

ちなみにアンヒンジドには、カードの「アーティスト」を参照するカードが多数あるのですが、このCensorshipのアーティスト名は「なし」が正解です。このことはアンヒンジドのFAQにも正式に載っております。

なおアングルード&アンヒンジドの2エキスパンションにはOracleがありませんので、それらのルーリングはFAQを参照するか、ジャッジの裁量となるのですが、このFAQがまたヒドい出来です。あ、この場合の「ヒドい」は褒めてます。
アングルードのFAQは広く知られているのに2種類があり、どちらもそれなりのジャッジの方々が作成したものとなってます。作者はD’angelo氏、と言えばわかるひとはわかるでしょう。古くからのルーリングの権威です。『「Cursed Scroll/呪われた巻物」の効果を厳密に解釈すると、プレイヤーに打つことはできないはずだ』と言いだし、発売直後の同カードの価値を大きく揺るがしかけた事件が有名です(実際彼の言うとおりなので、後にソレはカードにエラッタがでました)。
D’angelo氏は公式のルーリングサマリーの作成者ですが、このFAQは彼の趣味で作られたもののようです。なので、このFAQは「準公式」といった程度のものなのですが、そしてその内容は大変ネタ満載です。さすがアメリカ人はわかってらっしゃる。

http://www.crystalkeep.com/cgi-bin/magicsearch.cgi?cardName=&;;;cardColour=&cardType=&creatureType=&rarity=&cardText=&rulingText=&expansion=UG&pageNum=0&numCards=92

例えば、アングルードの「Blacker Lotus」の項目には以下のような文章が。

・このカードの代理カード(プロキシー)は、本物のBlack Lotusのカードを黒マジックで黒く塗りつぶしたもののみが認められ、それ以外は許可されません
・破る時は、1つより大きい片に破らなくてはなりません。「pieces」と複数形で書いてありますので。
・カードの掃除はあなた自身が行います。これは公式裁定です。
・(選択ルール)カードがスリーブに入っていた場合には、スリーブごと破ります。
(一部抜粋。これでも一部です)


こんな感じ。
このFAQはD’angelo氏と、彼のジャッジ仲間で作成したものなのですが、みんな大変ネタというものをわかってらっしゃる。機会があれば、是非一読をオススメします。

また、このアングルードのFAQには有志による日本語版も作られているのですが、それには「Merfolk of the Pearl Trident 」の項目もあります。以下のサイトから日本語版が見れますので、おヒマな方はどうぞ。

http://www.asahi-net.or.jp/~CN9M-SGR/mtg/unglued/ungl-j.txt

アングルード&アンヒンジドのカードは、本当に冗談みたいなカードばかりなのですが、その中にはのちにちゃんと通常のカードになるものもあります。有名なのは「Gleemax」で、このカードは文字通り「ゲームを支配する」カードです。

Gleemaxとは開発チームを影でコントロールしていると言われる存在であり、その正体はガラスケースに入った脳みそだそーです。彼はWizards of the Coast社の地下にある「禁じられた部屋」と呼ばれる場所に存在しており、Gleemaxが誕生したのは公式に1996年6月5日とされておりますので、開発チームは実に10年以上もこの地球外の知的生命体のコントロール化にあるそうです。

…以上すべて公式の設定です。(注:私の妄想ではないことを強く主張いたします)
ようするに、トンデモない内輪ネタです。なにかとんでもないミスをやらかしたときに「あれは俺じゃない! グリーマックスに支配されていたんだ…」とか言い訳に使うレベルのものです。

ま、でも開発チームの面々はこの設定をいたく気に入った様子で、Gleemaxは何度もマジックのカード化されようと試みがされています。最初のカード化はテンペストの「Helm of Possession」で、このアーティファクトはクリーチャーのコントロールを奪うだけでした。次にカード化されたときには、そのまま「Gleemax」の名前でしたが、そのあまりの効果(あなたはすべての呪文や能力のすべての対象を選ぶ)のため、通常のセットではなくアンヒンジドへの収録でした。あたり前っちゃー、当たり前ですが。

しかしこの「ゲームの全てを支配する」というアイデアはプレイヤーにも気に入られ、最終的にこのカードは「Mindslaver/精神隷属器」としてミラディンに収録され、さまざまなプレイヤーを支配することに成功した模様です。

エイリアンは怖いですね。

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零

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