流通を管理するということ。
2007年11月8日ちょっと気を抜くと、すぐにサボるblogです。
当初は、「某カリフォルニア大火災のせいで、一部流通が止まっちゃってタイヘーン」って感じで書き出そうとしたのですが、とっくの昔にそんな話題過ぎ去ってますし。
あ、でも、流通が止まってタイヘーンは事実だった模様。
某遊戯王を海外展開しているUpperDeck社なんて、所在地がカリフォルニアなので、モロにその影響受けてましたよ。新製品の出荷が、軒並み遅れまくり。
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さて。
わたしの手元に、1枚の紙があります。
「Wizards of the Coast社製品についての同意書」と書いてあります。
なかなかキツめの書類のようです。
(この書類の出所がバレるとなかなかにタイヘンなことになりかねないので、以下の文章では語句や表現法をビミョーに変えております。というか、もともと英語の書類なので、テキトーな意訳が入ってると思ってください)
「○○社」は、この書類を発行した問屋の名前が入ります。
「△△」には、この書類にサインをするディーラー、もしくは小売店の名前が入ります。
ようするにコレは、問屋と小売店の間で交わされる契約書、ですね。
いきなり核心。
これによって、ネット販売を行うショップへの卸・転売・流通のすべてが禁止されます。2番目の項目が少々わかりづらいかもしれませんが、ようするに禁止されているショップからの「代理購入」の禁止となります。「不特定多数に販売してないから問屋じゃないモン」って言い訳禁止ってことですね。
めちゃめちゃわかりにくいですが、ようするにこの契約を交わすには、まず「販売所」の登録が必要となるのです。で、その登録された販売所で、少なくとも購入量の半分以上は直販しろ、と。
この契約書は小売店だけではなく、問屋相手にも使われているものです。
「○○社」は、全米ではかなり大手の問屋となるため、この問屋から買って、地方の小売店に卸す問屋も多いのですが、最低50%以上は「登録された販売所」で売ることが義務付けられてます。
ナニを禁止しているかというと、「丸ごと横流しすんなよ?」ってことですね。
Wizards社の商品は人気があるため、新商品の発売後には常に品不足な感じになります。そーすると、自分らの割り当て分だけでは満足できない「中規模の問屋」や「大規模な小売店」が、地方の問屋からごっそり買い占めるということも十分に起こりえるワケです。
ただし、100%禁止するわけにも行かない。今の時代、商品を通販で買うのは当たり前になっていますし、特にアメリカでは都市部に出るまでに車で30分〜1時間というところに住んでいる人もザラにいます。荷物の郵送を全部禁止することはあまりにも非現実的。なので、「せめて半数」なのでしょう。
ちなみにこの「50%以上」というのは、Wizards社も、「Wizards社と契約している小売店」にほぼ同じ通達を出しています。
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さて、どっから出てきたかわからない紙切れの話はこのへんで。
最近の動向を見ればわかると思いますが、Wizards社がネットショップを嫌っているのは周知の事実です。2次元バーコードで流通監視したり、問屋に「販売禁止ショップのリスト」を告知したりと、なかなかに徹底しています。
ネットショップは、基本的に安いです。
では、なぜ安いかというと、それは経費が少ないから。当然すぎますね。
実店舗をもつショップは維持費(テナント代、光熱費、店員の給料)がかかるので、店を維持するためには、それなりの「儲け」を出さないといけません。ネットショップにもスタッフはおりますが、それでも「営業時間中、ずっとレジの前にたつ」スタッフは必要ないですし、そもそも維持費がケタ違いに安いです。実店舗のショップでは、その立地が売り上げに大きく影響しますが、ネットショップの場合は辺鄙な場所に倉庫1つでコトが足ります。小規模なショップなら、自宅の押入れで十分だったりもするほど。
そんな理由もあって、ネットショップはそこらへんの一般小売店よりも安いんです。で、それは当然、店舗を持つショップには面白くない。
そもそも店舗は、地域にマジックを広めるために様々な努力をしているのです。デュエルスペースを提供したり、トーナメントの案内をしたりと。しかしプレイヤーのほうからすれば、そんな事情はともかく「安いパック」が欲しい。で、「ネットでパックを買い、地元の店でプレイする」というスタイルが生まれ、結果として儲けがでない店はマジックの取り扱いをやめ、地元のプレイスペースが減るといった現象が多発することになるのです。「安売りする店が無ければいいのに」とWizards社が思うのは、もっともなことですね。さんざんプレイヤーからブーイングを受けながらも、同社が決してマジックオンラインでパックの値下げをしない理由も、このへんから推測できるかと思います。
そして、Wizards社がネットショップを嫌う理由はもう一つ。
それは「ワールドワイドに発送をする」こと。Wizards社は世界各国に代理店(日本ならタカラトミー)を立て、その代理店に一定地域における独占的な販売権を与えると共に、その地域における宣伝やイベントを行わせています。日本では都道府県選手権、高校生選手権、グランプリなどの主催は、Wizards社の直轄ではなく、タカラトミーが行っています。マジックの販売戦略上、大変重要。
しかしそれが「並行輸入品の方が安いから、正規代理店からのパックは買わない」となると……代理店としては「販売権ってナニ?」って話になるでしょう。
(ま、このへんのサジ加減を間違えると「独占禁止法」とかに違反するんですね。同商品で2度もやるなよ、HJ)
現在、Wizards社のオフィシャルな小売店になるためには、なかなかにしっかりとした「審査」があります。Wizards社は、その新たな小売店がネットショップではないか、もしくは実際には存在しないダミーではないか、ということを常に疑っています。
登録には、実際に営業している店舗の写真が必要となったり、またその規模も事前にしっかりチェックされたりもします。また、もしその小売店の注文数が、明らかにその店舗に似つかわしくない(「ホントにこの店で購入量の50%を直売できるの?」ってことですね)となると……監査が入って、あとはまぁ、あんまり面白くないことが起きたりするかもしないかも。
日本で英語版マジックを愛用している方には大変残念なことでしょうが、この取締りは年々厳しくなっているようです。
モーニングタイドのご予約はお早めに。
当初は、「某カリフォルニア大火災のせいで、一部流通が止まっちゃってタイヘーン」って感じで書き出そうとしたのですが、とっくの昔にそんな話題過ぎ去ってますし。
あ、でも、流通が止まってタイヘーンは事実だった模様。
某遊戯王を海外展開しているUpperDeck社なんて、所在地がカリフォルニアなので、モロにその影響受けてましたよ。新製品の出荷が、軒並み遅れまくり。
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さて。
わたしの手元に、1枚の紙があります。
「Wizards of the Coast社製品についての同意書」と書いてあります。
なかなかキツめの書類のようです。
(この書類の出所がバレるとなかなかにタイヘンなことになりかねないので、以下の文章では語句や表現法をビミョーに変えております。というか、もともと英語の書類なので、テキトーな意訳が入ってると思ってください)
この書類は、○○社(以下、弊社)と、○○社と提携する各社と、△△(以下、ディーラー)の同意書である。
「○○社」は、この書類を発行した問屋の名前が入ります。
「△△」には、この書類にサインをするディーラー、もしくは小売店の名前が入ります。
ようするにコレは、問屋と小売店の間で交わされる契約書、ですね。
1)ディーラーは、以下の者に商品を販売してはならない。
・2次問屋
・小売店への販売を行う者(特定小売店、不特定小売店のいずれも不可)
・通信販売、もしくはインターネットで販売業を行う者
・その他、一般消費者以外への販売を行うすべての者
いきなり核心。
これによって、ネット販売を行うショップへの卸・転売・流通のすべてが禁止されます。2番目の項目が少々わかりづらいかもしれませんが、ようするに禁止されているショップからの「代理購入」の禁止となります。「不特定多数に販売してないから問屋じゃないモン」って言い訳禁止ってことですね。
2)ディーラーは、購入商品の50%以上を、登録された販売所にて一般消費者もしくは小売業に販売しなければならない。
めちゃめちゃわかりにくいですが、ようするにこの契約を交わすには、まず「販売所」の登録が必要となるのです。で、その登録された販売所で、少なくとも購入量の半分以上は直販しろ、と。
この契約書は小売店だけではなく、問屋相手にも使われているものです。
「○○社」は、全米ではかなり大手の問屋となるため、この問屋から買って、地方の小売店に卸す問屋も多いのですが、最低50%以上は「登録された販売所」で売ることが義務付けられてます。
ナニを禁止しているかというと、「丸ごと横流しすんなよ?」ってことですね。
Wizards社の商品は人気があるため、新商品の発売後には常に品不足な感じになります。そーすると、自分らの割り当て分だけでは満足できない「中規模の問屋」や「大規模な小売店」が、地方の問屋からごっそり買い占めるということも十分に起こりえるワケです。
ただし、100%禁止するわけにも行かない。今の時代、商品を通販で買うのは当たり前になっていますし、特にアメリカでは都市部に出るまでに車で30分〜1時間というところに住んでいる人もザラにいます。荷物の郵送を全部禁止することはあまりにも非現実的。なので、「せめて半数」なのでしょう。
ちなみにこの「50%以上」というのは、Wizards社も、「Wizards社と契約している小売店」にほぼ同じ通達を出しています。
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さて、どっから出てきたかわからない紙切れの話はこのへんで。
最近の動向を見ればわかると思いますが、Wizards社がネットショップを嫌っているのは周知の事実です。2次元バーコードで流通監視したり、問屋に「販売禁止ショップのリスト」を告知したりと、なかなかに徹底しています。
ネットショップは、基本的に安いです。
では、なぜ安いかというと、それは経費が少ないから。当然すぎますね。
実店舗をもつショップは維持費(テナント代、光熱費、店員の給料)がかかるので、店を維持するためには、それなりの「儲け」を出さないといけません。ネットショップにもスタッフはおりますが、それでも「営業時間中、ずっとレジの前にたつ」スタッフは必要ないですし、そもそも維持費がケタ違いに安いです。実店舗のショップでは、その立地が売り上げに大きく影響しますが、ネットショップの場合は辺鄙な場所に倉庫1つでコトが足ります。小規模なショップなら、自宅の押入れで十分だったりもするほど。
そんな理由もあって、ネットショップはそこらへんの一般小売店よりも安いんです。で、それは当然、店舗を持つショップには面白くない。
そもそも店舗は、地域にマジックを広めるために様々な努力をしているのです。デュエルスペースを提供したり、トーナメントの案内をしたりと。しかしプレイヤーのほうからすれば、そんな事情はともかく「安いパック」が欲しい。で、「ネットでパックを買い、地元の店でプレイする」というスタイルが生まれ、結果として儲けがでない店はマジックの取り扱いをやめ、地元のプレイスペースが減るといった現象が多発することになるのです。「安売りする店が無ければいいのに」とWizards社が思うのは、もっともなことですね。さんざんプレイヤーからブーイングを受けながらも、同社が決してマジックオンラインでパックの値下げをしない理由も、このへんから推測できるかと思います。
そして、Wizards社がネットショップを嫌う理由はもう一つ。
それは「ワールドワイドに発送をする」こと。Wizards社は世界各国に代理店(日本ならタカラトミー)を立て、その代理店に一定地域における独占的な販売権を与えると共に、その地域における宣伝やイベントを行わせています。日本では都道府県選手権、高校生選手権、グランプリなどの主催は、Wizards社の直轄ではなく、タカラトミーが行っています。マジックの販売戦略上、大変重要。
しかしそれが「並行輸入品の方が安いから、正規代理店からのパックは買わない」となると……代理店としては「販売権ってナニ?」って話になるでしょう。
(ま、このへんのサジ加減を間違えると「独占禁止法」とかに違反するんですね。同商品で2度もやるなよ、HJ)
現在、Wizards社のオフィシャルな小売店になるためには、なかなかにしっかりとした「審査」があります。Wizards社は、その新たな小売店がネットショップではないか、もしくは実際には存在しないダミーではないか、ということを常に疑っています。
登録には、実際に営業している店舗の写真が必要となったり、またその規模も事前にしっかりチェックされたりもします。また、もしその小売店の注文数が、明らかにその店舗に似つかわしくない(「ホントにこの店で購入量の50%を直売できるの?」ってことですね)となると……監査が入って、あとはまぁ、あんまり面白くないことが起きたりするかもしないかも。
日本で英語版マジックを愛用している方には大変残念なことでしょうが、この取締りは年々厳しくなっているようです。
モーニングタイドのご予約はお早めに。
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