今回はまとめです。
4回も続いちゃったよ。さらっと流すつもりのネタだったんだけどなあ。

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ま、結局のところ、この4回を通じてもっとも言いたかったことは、

「カードは、信頼できるショップ/ディーラーから買いましょう」

ということですね。


今の世の中、カードショップなんて腐るほどあります。

安いところもあるでしょう。高いところもあるでしょう。
でもさ、どちらも結局「ショーバイ」なのよ。

高いところが「高い」理由は、人件費だったり安定した商品入荷のためだったりなんです。
安いところが「安い」理由は、個人営業だったり副業だったり……まあ中にはもちろんまっとうな企業努力をして安くしてるところもあるでしょうが、結局のところコンスタントにいい商品を仕入れ・販売し続けるとなると、どうしても仕入れ価格は上がり「お得」な値段には落ち着かないんですよ。
「売値」に最も影響するのは「仕入れ値」なので。

「仕入れ(=買取)」を行わず、地道にトレードなどで集めたカードをオークションで売っている一般プレイヤーの値段はやはり安いです。
ショップやディーラーから買うと高いです。ショップと一般プレイヤーを隔てる最も大きな違いは「常に在庫を持ち続ける必要がある」の1点です。
大安売りで売れるだけ売って、在庫が無くなったら「しなぎれでーす」じゃショップじゃないですから。

で、そりゃみなさんがカードを買うときは安いほうがいいに決まってます。
安いシングルカードならオークションとショップの差も微々たる物ですが、高額カード……とくにパワーナインやヴィンテージ1流カードになるとその差は数千円、ときには万の額となるため、オークションで安いのを探したい気持ちもわかります。


でもね。
やっぱり、プロはプロなんですよ。

決して「プロから買えば安心だから保険料だと思って払え」なんていうつもりはありません。
そう思っているうちは、たぶん買っても「なんか損した」って気分のままになると思いますから。

購入者の方が「自分には、プロフェッショナルから買う理由がある」と思っていただけるよう、それだけの理由となるものを提供できるよう、ショップ/ディーラーなどの「カードを売って生活する(= プロフェッショナル)」な人間はそれだけ努力をしなくてはならないと思ってます。それで商売をしている側から「俺らは信用できる。だから多少のカネは払え」なんて言ったら、そりゃタダの馬鹿でしょう。対価を払うのはあくまでもお客さん。そのお客さんが「この値段なら妥当だな(オークションよりは高いけど、商品価値を考えればこの値段ならアリだろう)」と思って買っていただけるよう、それだけの安心と安定(プロとアマチュアの違いって、極論を言えばこれだけですから)を提供できるようにならんといかんと思います。

↓↓↓

これは私が実際にした体験なんですが。
とあるマジックのプレミアイベントでディーラーをしてた時です。
お客さんの一人が「すいません、よかったらトレードってできますか?」と聞いてきたんです。
基本的に「仕入れ値」と「売り値」の差額で生活をしているディーラーとしては、等価交換となる「トレード」は鬼門なんです。それをするとタダ働きになってしまいます。

しかしそのお客さんは常連さんでした。名前は知らないですが、顔は何度も見てます。
まぁ、内容次第ならサービスのつもりでやってもいいかなと思い希望しているトレードの内容を聞きますと「ベータのデュアルランドを別のものと交換したい」とのことでした。
ベータのデュアルランドはかなりの人気商品です。念のために種類を聞くと「Tundra」と「Volcanic Island」を出して、他の種類のものと1対1交換したいとのことでした。両方とも10種類のデュアルランドの中でもトップクラス(当時は)でしたので、それは断る理由もありません。どれでも好きなの持って行け状態です。

その条件ならトレード可能なのでカードを見せてくれと伝えると、そのお客さんは大切そうにバインダーからカードを出し、スリーブを外してこちらに渡しました。
手に取った時に微かな違和感。慎重に表裏を確かめ、手触りを確認し、光にかざし、反射させました。
『CEフェイク』。Volcanic Islandのほうが偽物でした。

私がトレーディングカードのディーラーになって早6年がたちますが、あの時ほどココロに堪えたことはありません。
いつも本当に楽しそうにカードを買い、ゲームで遊んでいたお客さんに「これは偽物です」と伝えるのは本当に辛かったです。いっそ何か適当な理由をつけてトレードを断ろうかと思いました。しかしそれをしても……結局ダレも喜ばないんですよね。お客さんはこちらをプロとして信頼してくれてました。ヘタな嘘は信頼を失うだけでなく、そのお客さんが更に損をする(=また偽物をどこかで買ってしまう)ことにも繋がります。

ちなみにそのカードが偽物であることを告げ、トレードをお断りした直後。「そのカード、安く出るなら引き取りますよ!!」と目を輝かせてそのお客さんに寄っていったハゲタカのような阿呆がおりました。殴ろうかと思いましたよ、ホント。


なおそれ以後、そのお客さんをイベント会場で見かけることはありませんでした。
(阿呆はよく見かけました。今でもキライです)


高額なカードほど偽造も増えます。これは間違いないです。
安心は金で買えるんです。笑顔も金で買えるんです。

1度の被害は、それが数千円(いままでマジックにつぎ込んできた額と比べるなら、決して「たった」と言ってはいけない額ではないと思います)であっても、いまみなさんが楽しんでいるゲームの全てを嫌いになれる威力があるんです。

このblogを見て下さっている皆様が、このような被害に合いません事を切に願います。
前回の内容、いま読み返してみるとえらい読みにくいっすね。
書いてるうちにあまりに長くてぐだぐだになってたからなあ。
微反省。

さてそろそろ飽きがきてるかと思いますが、まぁ書き始めちゃったので最後まで書きます。
「鑑定機関について」の3回目。今回は補足的な戯言です。

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トレーディングカードの鑑定を行ってるところはいくつかありますが、一般的にコレクターの信頼をある程度得ているところは「PSA」と「BECKETT」の2つくらいでしょう。

「PSA」は元々はベースボールカードの鑑定を行っていた、コレクタブルカードの鑑定専門の機関です。カードのグレードは10段間でシンプルに表され、最大評価である「10」がついたカードは通常の数倍の値段にて取引されています。

「BECKETT」も同様の会社ですが、こちらは鑑定以外にも幅広くビジネスを行っております。代表的なものに雑誌の発行とか。カードのグレードはPSAと同じく10段階で表されますがこちらは小数点以下1ケタに「0.5」が存在します。「9.5」とかそんな感じで。実質20段間評価とも言えるのかな?
さらにこちらは裏面にこのスコアの内訳とも言える4つのスコアが記載されており、この総合評価がどのようにして計算されたのかわかる仕組みになっています。内訳の4つは以下のとおり。

 [Centering] 印刷位置。きちんと中央に寄っているか。
 [Corners] カードの縁の状態。
 [Edges] カードの角の状態。
 [Surface] カードの表面の状態。

なので、BECKETTの評価は「10、9、8.5、9.5:総合9.5」のように表されます。
補足:必ずしも平均ではないとの指摘がございました。

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さて、ここまで読まれた方は「BECKETTすげー」と思ってると思われます。
ま、実際気分がいいんですけどね。BECKETTの鑑定済カードを見ると。
すごくすっきりするんです。細かな評価があって、それプラス総合評価が明確に数字で出ると。

でも私は、BECKETTはオススメいたしません。私が鑑定に出すならPSA以外の選択肢はありません。
なぜなら…

■知名度
PSAのほうが圧倒的に知名度があります。
アメリカのオークションサイトeBayのトレーディングカード・コーナーで、「PSA」と「BECKETT」を検索してみれば一目瞭然です。

■信頼度
まあこれはどちらもミスはありますが。
しかし、前回散々「PSAはミスをする」とか「PSAはニセモノカードまで鑑定しちゃったり」と書いてた私が言うのもアレですが、それでもPSAのほうが信頼度が高いんです。
BECKETTの鑑定済みカードは一見すばらしいです。たくさん数字かいてますしいかにも信頼できそう。
でも世間の評価は低いです。専門家の評価も低いです。
はっきり言うと、評価が甘すぎるんです。内訳の数字を見ると9.0とか9.5、あげくには10がぽんぽん飛び出すんです。10ってのは「100%完璧」ですよ。そんな「完璧」の評価をぽんぽん出すところが信頼できますか?
補足:これについては意見がわかれるところもありますので、こちらはあくまでも「私(零)の意見」としてご判断ください。

また総合評価のつけかたも問題です。
BECKETTの総合評価はおそらく4つのスコアの平均で出してると予想されますが(補足:繰り返しになりますが、どうもやはり平均ではないそうです)……これってよく考えるとおかしな話です。考えて見てください。表面が完璧(10)、位置も完璧(10)。…でも、角と縁がそれぞれ傷有り(8.0)だとした場合……このカード評価は「9.0」でしょうか?
私なら「8.0」をつけます。だって確実に「8.0」としか評価できない問題点があるんですから。
カードの評価って平均じゃないんです。たとえ3つの要素である位置・縁・表面が完璧(10.0)でも、角に大きな問題(5.0)があったらそのカードの評価は「5.0」なんですよ。カードの問題点、悪いところを探し出すのか「カードの評価」。私はそう思ってます。

■流通
上記の理由も手伝って、いま現在でもBECKETT鑑定カードはあまり流通してません。
流通してないということは価値が低いんです。
安く手に入る代わりに、安くしか売れないんです。
でも日本人にはよく売れるんですよね。仕入れるのにはいいかも。

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もちろんPSAにも問題点は多いです。
基本的にエラーカード&ミスプリントは鑑定の対象外(最近ちょっと緩和されてきました)、エキスパンション名のミスも発生します。また「8かなー? 9かなー?」というボーダーラインのカードのグレードは、その鑑定をした人の一存で決まる(8.5などの微妙な数がない)ので結構納得のいかない鑑定結果をよこすこともあります。

でもそれらは、見方を変えるとある種すべて「仕方のない」こととも言えます。

エラーカード&ミスプリントは「正規のカードではない」。すなわち評価はゼロでも文句が言えません。

エキスパンション名についてはもっと勉強しろ!としか言えませんが、さしあたって大きな問題になることは少ないです。そもそもBECKETTも発行年月日とかセットとか間違ったりもするし。

小数点以下の微妙なスコアがないということは、それだけはっきりとした結果を返すこととも言えます。
8か9かのボーダーなら「9」が欲しいのが本音ですが、それを「8」とする場合があるということはそれだけ厳しく見た結果とも言えます。

ま、この話を突き詰めると「ナゼ鑑定をするのか?」という話になっちゃいますね。

結局のところみんないい数字が欲しいんです。売るほうも、買うほうも。
人間「数字」と「権威」に弱いからね。

ショップ側もソレを期待して、その「数字&権威」を得るためにわざわざ鑑定依頼をしてから販売してるので、どっちもどっちと言っちゃそれまでですが。PSA9が付けば「NearMint」として売る1.7〜1.9倍の値段で売れるからなあ。普通に「NearMint」として売ってるものもPSA8〜9レベルのものなのに…。

「満足」が欲しい方は、裏面にいい数字をたくさん書いてくれるBECKETTをドウゾ。
総合評価も甘めなので楽しいひと時がすごせます。
訂正: 後ろにたくさんの数字が書いてあり、その中には通常なかなか出ないようないいスコアも書いてあるので、楽しい一時がすごせます。

「完全」が欲しい方は、PSAと一緒にマゾな鑑定地獄へドウゾ。
なっかなか10とか出しませんよコイツ。永久に終わらないコレクション地獄が楽しめます。

さて、次回はいよいよ「鑑定編」の最後。
自分でもそろそろ飽きてきたよ、この話。
2週間の御無沙汰です。
そろそろ気の短い人はブックマークの登録を解除してることかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。

まあ「興味あるひとだけ読めばいいやー」くらいのノリで書いてる駄文ですが、それでもやはり読者様ってのはありがたいものですね。大事にしないと。


さて。
んじゃ、今回も「おおよそ普通にマジック楽しむ上では必要ないムダ知識」の紹介を。
予告どおり『DNA鑑定』のお話です。

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まず軽く『DNA鑑定とは何ぞや?』というところから。

ま、大層な名前が付いてますが、コレあんまりDNA関係ないんじゃないかなと素直に思います。
「ニセモノと思われるカードのDNA(カードにDNAがあるわけないが)を鑑定し…」とかそういうんじゃ全く無いです。というかですね「ニセモノと思われるものを判断する手段」じゃないんですよ。「本物と認定したカードに複製不可能な印をつけちゃおう」といういささか乱暴な判別方法です。

『DNA鑑定』で依頼をしたカードはグレーディング(スコア付け)はされません。
ただ「本物かニセモノか」のみを、みっちりじっくりがっちりチェックされます。
そのうえで、もし「本物」と鑑定された場合には……カードに印をつけられ、鑑定済みの印とともに返送されてきます。


「えー、印つけられんのかよ。ヤだなそんなの」


…と思った方。握手。正直僕もそう思いました。
カードはできるならそのままの状態で、一切の人為的な痕跡が残ってないものこそが「コレクションのためのカード」だと思うからです。いくらそれが鑑定の証だとはいえ、どうにもココロに収まりがつかないものが残るのは事実かと思うんです。

ただ、その「印」というのは目には見えません。
まったく見えません。絶対に見えない、といっても言いものです。

たった1つの条件下。すなわち「特別製の鑑定用レーザーペンから発せられる特殊光を当てられた場合のみ、反射光が浮かび上がる」という方法を用いない限り見えないインクなのです。
鑑定済みカードには、カード背面のある場所……ま、これくらいは書いちゃっても平気か。裏面右の縁、右下の角から上に3〜4センチのところ……に3〜5ミリほどの幅で特殊インク塗布されています。この特殊インクこそが『DNA鑑定』の肝となる部分で、これは合成DNA(Synthetic DNA)製で特殊なレーザー光にのみ反応します。もしこのインクを偽造するとなると、途方もない組み合わせの中からその特殊レーザー光にのみ反応するただ1つの組み合わせを探さなくてはならず、それは事実上不可能と考えられています(少なくともPSA社の言い分では)。

ようするにこういうことです。

「DNA鑑定済みのカードには、偽造することのできない不可視インクが極少量染み込んでいる」

繰り返しますが、このインクは裸眼では見えません。
しかしそれでも「カードが印刷・製造された過程」以外でのものを故意に不着させているのは事実です。これをコレクターの方がどのように受け止められるのかは人それぞれではないでしょうか。


ただ現実問題として、すでにこのDNA鑑定は静かに広まっています。
海外の大手ディーラー、コレクターなどでDNA鑑定をすでに始めているところは少なくありません。みなさんにはわからないかもしれません。何せ見えないんですから。でも間違いなく、この流れは始まってしまっています。

ようするに、コレクタブルカード(マジックだけではなく、ベースボールカードやトレカなど)の偽造というのはもはやそれほどの手段を用いるほどに増えており、また「特殊インクの塗布」というイレギュラーな方法を用いてでも本物を求めるコレクターも増えているということです。

どうにも納得できない人もいるかと思いますが、これも世の流れとして受け止めるしかないかもしれませんね。



まあ、もしどうしても「そんな特殊インクが付いたカードは嫌だ!!!」という人は、まぁ素直にショップなりディーラーなどに「DNA鑑定済みではないカードはあるかい?」と聞くのが良いかと。英語がわかんなかったら「NO PSA/DNA authentification!!」とでも書けばよかろう。ぶっちゃけDNA鑑定には費用もそこそこかかるので「鑑定していないやつ!」と指定することに嫌な顔はしないでしょう。鑑定済みしか在庫がないと言われたらその時に悩めばよいのです。

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うっわ、気付いたらこんなに長くなっちゃった。
「カード鑑定」の話は全3回の予定だったけど、まとめ切れなかったので1回延長。

「カード鑑定」についてのまとめは次回。
たぶん、すぐ。

計画性ナシのツケ

2006年11月11日
前回最後に予告しちゃった「DNA鑑定」に使われる、鑑定用レーザーペンの現物を確認するのにちょっと手間取ってます。考えもなしに予告なんてしなきゃよかった。

来週にはたぶん入手できるので、そしたら更新します。
前回までが「偽造」の話だったので、今回はソレの対抗馬である「鑑定機関」のお話。
「鑑定済」って紙切れを信頼しきっちゃいけないのは、どの世界でもおんなじ。


まず最初に頭に置いておいてもらいたいのは、「カード」のコレクションという趣味はアメリカでかなりの歴史をもっております。ちょっと前にマジックが「10周年〜♪」とか喜んでましたがそんなもんじゃない。数十年は余裕です。その前になると「切手」などのコレクションもありましたが、そこまで溯るとちょっと違った話になってしまうので、今回は「カード」のコレクションに話を限定します。

そもそも「カード」のコレクションは、いわゆる「ベースボールカード」のコレクションから始まります。さすがアメリカですね。で、それらのカードにはもちろん「プレミア」が付きますので、そうなると当然その価値を判断する必要がでてきます。ホンモノ・ニセモノはもちろんのこと、第三者の目で公平に判断した「カードの価値」…いわゆる「状態」というものを判断する需要があったわけです。それがいわゆる『PSA』社によって行われている鑑定のお仕事です。



↑↑↑

まあ、クソ退屈な話を長々と薀蓄たれましたが、重要なポイントは1つだけ。

 『カード鑑定機関による鑑定は状態の鑑定。ホンモノ・ニセモノの鑑定は(基本的には)専門外』

ということ。

いや、本来なら一番きちんとしなくちゃならんところなんでしょうが、これがまあよく騙されてくれるわけです。何度も見聞きしてますよ。CEフェイク(前回の日記参照)がケースに収まって「ランク9」とかついてるヤツ。あほかと。

彼らの世界では「偽造」はそれほど多くなく、また彼らにはマジックに関してのそれほど多くの知識もありません。一般的な「カード」として状態を鑑定するのが彼らのお仕事。誤解を恐れずに言えば、彼らはマジックに関しては「素人同然」です。PSA鑑定済みのカードだからって安心するのは大間違いです。

頻発するミスは「アルファのカードをベータと鑑定」「もしくはその逆」。
また、エラーカードであるサマーマジックを(本来PSAはエラーカードの鑑定を行っておりません)を通常のカードとして鑑定したり、これまたその逆もあったり。

カード鑑定機関による「鑑定」は、結局のところ手作業です。
やってるのは人間です。
ミスも多いです。


また状態の鑑定も担当者によって随分変わります。
こちらの目で見てランク9は確実なので、鑑定依頼したら「ランク8」。どう考えても納得いかないのでプラスティックケースをこじ開けて、そ知らぬ顔で再度鑑定を依頼したら「ランク9」とか。


結局のところ、たとえ「PSA鑑定済み」のカードであっても、購入する際には自分の目で確かめるのが一番です。自分の目に自信が無ければ、多少の手数料を払ってでも信頼できるディーラーを通して(手数料を払っての代理購入の依頼なら大抵のディーラーは快く請けてくれるでしょう。彼らの目を信頼してる証ですから)買ったほうが無難です。


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ただ、これらの鑑定機関がものすごく優れている部分もあります。
「センタリング(Centering)」と「インクド(Inked)」。この2つは、一般のマジックのディラーよりも遥かに正確な判断を下します。

「センタリング(Centering)」とは、カードの印刷がきちんと中央にされているかということ。
左右・上下の縁のバランスが異なったりしていないかということを、きっちり測定して判断します。
もともとのベースボールカードの価値はコレによって大きく左右されるところもありますから、まさに鑑定機関の本領発揮といったところです。


「インクド(Inked)」とはインチキの一種。ものすごく広い意味では「偽造」に分類されることもあります。
その内容は、ようするにカードの白くなってしまった部分等に「黒インク」などを塗って誤魔化すこと。マジックのカードは背面が「黒枠」な多いため、このインチキなカード復元法がそれはそれは多く広まっています。ようするにですね、黒枠が白くはがれた部分に黒マジック(もしくは黒鉛含有率が高い鉛筆。2Bとか)で黒く塗る、と。

これ、一見すると綺麗な黒枠に見えて「わー、価値があがった」などと喜ぶあほうも多いですが、カード鑑定にかけると「鑑定拒否」の烙印を押され、ケースにも入れられずに戻ってきます。ようするに、正式なカードとして扱われません。いわゆる、ゴミ。
コレクション対象としてカードを見る場合、あとから人為的な手が加えられたものなど論外なんです。

PSA社の鑑定ではこのインクドが非常に綿密に検査されます。顕微鏡くらいの解像度でチェックされているのは間違いないかと。

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さて。

今回の話では「PSA」鑑定を例として用いましたが、他にカード鑑定機関として現在有名なのに「Beckett」というのもあります。

次回はその違いなどを含めた続編を。
PSA社の新サービス「DNA鑑定」についても触れましょう。

偽造・その2

2006年10月25日 TCG全般
さて今回はもっと小さな偽造の話を。

ま、前回同様に繰り返しますが、決して「作ってみよう」なんて思わないでください。
バレるって。捕まるって。

このページを見てる方々がもしそーいう偽造カードを見つけたら、容赦なくそれなりの場所に通報しちゃってください。偽造小僧とチーターはマジック界のダニですので。

蛇足ですが「著作権法違反は親告罪だから平気」とか言ってる阿呆がたまにいますが、「親告罪」だからヤバいと何故思わないのかな。海外の大企業が日本の個人の小さな偽造なんで訴えるわけないかと? 甘いよなあ。

実際そういう「警告」を受け取ったひといますよ。
私も少なくとも2件は知ってます。1件は本人に会って話を聞いたこともありますし。
海外企業の賠償金請求はすごいらしいですよ。一家が破産できる額だそうな。

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さて。

前回書いたのはいわゆる「本物の偽造」ですが、今回のは……なんていうか、もうちょっとみみっちい偽造。本物のカードに手を加えたものなので、偽造っていうか「詐欺」に近いです。

■アルファ
アルファのセットのカードは高いです。印刷枚数もベータに比べて3分の1程度。コレクター市場では、アルファのシングルカードは毎年確実に値上がりをつづけています。

アルファとベータの見分け方は簡単。角のカットが違うんです。
ベータのほうは今のカードと同じですが、アルファはもっと丸っこくカットされてます。偽造の部分をわかりやすくするために言い方を変えると「アルファの方がカットされている面積が多い」ということになります。

んじゃ、カットしちゃえと。ベータを。
ベータの角をアルファと同じカットの形にしちゃえと。
それが、アルファ偽造。

見分けるのはひたすら困難。
前回の「カット」の部分でも説明した「小学校の図工の時間でも使うある道具」を使ってカットされるとますます困難。プロ(いるかどうかしりませんが)が本気でやったら、見破れないものができるかもしれません。

しかし、一部のカードについては100%見破れます。
よく一般的に勘違いされてますが『アルファとベータのカードは同じ印刷じゃありません』。
ミスプリント(例:Birds of Paradiseの改行マーク)の修正、一部テンプレートの変更などが施されており、実際はかなりの数のカードが「全く同じ」外観ではなくなっています。あ、あとベータで追加された7種類のカードもあったね。

私の知ってるコレクターの1人に「アルファのIsland Sanctuary」のみを集めているキ○ガイじみた方がおられます。そろそろ全発行枚数の半分くらい集めたんじゃないかな?

■白紙カード

……なんていうんだろ。私が知ってるなかでもっともみみっちい偽造。
ようするにカードに何も印刷されていない「白紙」のエラーカード。これを作っちゃおうというもの。
白紙エラーは確かに存在するんですよ。でもそれを作るってのは……なんだかなあ。

作るのに必要なのは、①ダーク以前の英語版のカード1枚、②消しゴム1個、③途方もない根気。
物資を準備したら、あとはひたすら②で①を摩擦しましょう。小一時間ほど経ち、③がなくなりかけるころに白紙カードが完成するでしょう。
ちなみにこれだけ苦労してつくっても、実は本物の白紙エラーと消しゴム製白紙カードはとても大きな違いがあります。表面の光沢。

■銀カード

応用編。何も印刷されていないフォイルカードを作っちゃおう。
用意するもの。①旧タイプのフォイルカード、②ベンジン・シンナー等、③換気のよい部屋。
ま、方法は書かなくてもわかると思うので割愛。

ちなみにこれだけ臭い思いをしてつくっても、実は本物のフォイルエラーと有機溶剤製偽造カードはとても大きな違いがあります。表面の光沢。

■応用編
こっからは真の偽造の話。

↑の2種類でつくった「白紙カード」「何も印刷されていないフォイルカード」を用いて、インクを乗せるタイプのプリンターで印刷すると……あら、これはちょっと本物っぽい?

カードの厚み、紙質、裏面、すべて本物。
インクの品質、匂いはニセモノだけど、これはちょっとすごい偽造じゃない?

ちなみに(中略)表面の光沢。

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■まとめ

偽造カードの見分けるポイントは以下の通りです。

① 匂い
② 色、発色
③ 紙質(横から見てカードの中央に青い紙があるか)
④ カードの厚み(厚すぎ、薄すぎは要注意)
⑤ カードの歪み(糊で貼り付けた跡はあるか)
⑥ 印刷精度(dpi)
⑦ 印刷のズレ(表と裏が同時にずれているか)
⑧ 表面の光沢

①〜④はセットによって異なりますのでちょっと注意。アイスエイジとはやたら分厚いし。ミラージュは臭いし。
⑥についてもセットによって多少異なります。リバイズドと最新セットを並べて見てみれば一目瞭然。

まぁ、ぶっちゃけて言うと一番ラクに見分けられるのは⑤ってことですね。
蛍光灯などの「均一に光が広がる」タイプのライトを使い、その光をカードに反射させるように満遍なく照らして見てください。触ってわからないほどの巧妙なものでも、光をつかったテストならその殆どが見分けられます。シールでも、スプレー糊でも、瞬間接着剤でも。糊(接着剤)ってのは基本的に固まる際に縮むので、それで歪みが出るんです。

ちなみに一番確実に白黒が付けやすいのは、実は①です。これだけは答えが「Yes/No」で出ますから。
まあ、これができないやつはプロのバイヤー/ディーラーにはなるなってこった。
古い話で有名なのは、カナダのモックス偽造団かな? 
摘発されたらしいけど。



と、のっけからヘビーな前振りから始めてみました。

マジックのカードは、モノによっては非常に高価な値段がつくものの、実際のブツはただの紙。そりゃ偽造するバカも出てきます。だってカード1枚数百ドルなら現金偽造するよりいいでしょ。印刷技術も(紙幣よりは)稚拙だし、そもそも通貨偽造罪に問われない。いいとこ著作権法違反+詐欺罪どまりでしょうね。

というわけで、マジックカードの偽造は今も昔も後を絶ちません。
プロフェッショナルな機械を使った大掛かりなものから、個人がちまちまやってるようなみみっちいものまで。ただどちらにしても総じて言えるのですが……やるならもうちょっときっちり仕事しろと。騙される以前に笑っちゃうようなものが多いです。まあそれでも慣れない人ならダマされかねないので、みなさん適度に気をつけましょう。

さて。
こんな適当な話はダレも期待してないでしょうから、ちょっと突っ込んだ話を。

でも、その前に。これだけは。

「以下の情報を見て、決して『作ってみよう』なんて思わないでください」

バレます。すぐにバレます。本当に。
だってそもそも、そういう偽造が世間に認知されて、どっかの阿呆が作ったらすぐにバレて捕まることを祈りつつこの記事書いてるんだし。なにも知らない子供が大切そうに偽造カードを持ってるところを見るほどキッツイものは無いですよ、実際。

ここで書いてるのは、すでに市場に出回ってしまっている偽造カードの情報です。古い情報です。
しかも、その作成方法については一部ウソや不正確な部分を意識的に混ぜてあります。
しつこいようですが、決して偽造はしないこと。偽造は犯罪ですヨ。

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さて。
偽造の方法は、私の知っている限りで以下のようなものがあります。

■カラーコピー
アホのやり方。プロキシーとして使うんなら便利なんですけどね。
ちなみにあまり知られてないかもしれませんが、コンビニなどのカラーコピー機では「倍率100%」では原寸と同じにはなりません。カラーコピーってのはちょっと小さくなるようにできてるんですよ。原寸にするには「10●%」にする必要があります。

ま、それでも稚拙な偽造には変わらないですけどね。
見分け方の一番のポイントは、まず表面に光沢がないこと(普通紙の場合)。写真紙に印刷した場合は逆に光沢が出すぎます。あと手触り、匂い、カードの厚み(コピーした紙をホンモノに貼り付けるのでどうしても厚くなる)などなど。

■パソコン+プリンター
ちょっと前までは稚拙な偽造の代表でしたが、いまは技術の進歩でバカにできないレベルに。それでも触れば0.2秒でバレますが。

ちなみにここでいうプリンターはカラーのレーザープリンタです。一昔前までは昇華型のインクプリンターが最高品質でしたが、もう時代じゃないです。カラーレーザーだと紙もいろいろ選べますし。

見分けるポイントは光沢。そして紙の厚み&匂い&手触り。基本的にこの4つはどんな偽造に対しても同じです。とくに「匂い」は重要なポイントで、どんなに巧妙に偽造しても匂いを誤魔化すのは至難の業。写真紙の鼻をつく匂い、インクのケミカルな匂い、レーザープリンタの粉っぽい(ちょっと表現が難しいですが)匂いがわかれば、まず99%偽造は見抜けます。あとは本物の匂いを知ってればOK……とは言っても、マジックのカードは時代によってインクが違うのがちょっと難点。ミラージュは臭い。

■CEフェイク
一番ヤバい代物。実は最初は私も見抜けませんでした(恥)
正確には「コレクターズエディッション・フェイク」と言います。

その名の通り、特別セットとして発売された「コレクターズエディッション」のカードを利用した偽造カード。このセットは表面はベータ、裏面は金枠+ロゴという仕様になっているので、その表面だけを使います。印刷&紙は完全に本物と同一なのでヤバいヤバい。あまりのヤバさにこれ以上詳しい「偽造の仕様」は書けないほど。ホントに作れちゃうし。

見分けるポイントは以下の4つだけ。

①カードの表面(手触り+光の反射具合)
本物のカードの裏面とCEの表面を張り合わせてあるため微細な歪みが生じる。また接着に糊を使っている場合には、糊が乾燥する際に生じる凸凹も見える。

②匂い
また匂い。
でも今回はカードのマテリアルは本物なので、嗅ぎ分けるのは別の部分。
糊の匂いがしたらヤバげ。あともう一点別の「匂い」をかぎ当てる可能性もあるけど、それは偽造法を手伝っちゃう可能性があるので割愛。

③カードの角
コレクターズエディッションのカードは角がカットされてないので、それをなんらかの手段で丸くカットする必要があります。その裁断具合。
マジックのカードはプレスカット(表側からカットか裏側からカットなのかはセットによって違います)されているので、本物のカードは角がカットされた方向に「立って」ます。ナイフ等で切った痕とは明らかに異なります。
実は日本の文房具屋に普通に売られているある道具(日本以外ではあまり無いんじゃないかな)を使うと、これが一発で綺麗なカットができてしまうんでタイヘン危険なのですが……まあその場合でも他の2つの方法で見分けられるので大丈夫かな。

④表と裏
これは少々判断が難しいレベルなんですが、ま、参考までに。
「正規のカードになにかを貼り付けた」偽造カードすべてにいえるのですが、表のセンタリングと裏のセンタリングが異なることが多いです。通常印刷されたマジックのカードは、印刷のセンタリングが中心からズレている場合(厳しい目で見ると、殆どのカードが「完全」には真ん中ではなくズレています)、表も裏も同じようにズレます。表は左よりで、裏は右よりとかは通常あまりありません。

「あまり」というのは……実際、正規のカードでも表と裏で印刷がズレることはありえます。精度の問題だったり、純粋にエラーだったりですが。なのでこの方法は完璧ではなく、正規のカードまで「ニセモノ?」と思わせてしまう可能性もあります。安全策を取る方にだけおすすめ。

■某国製
ちょっとヤバい話になるのでわかりにくく書きます。
数年前まで日本でマジックのボックスをネット販売で安売りしていた●社(やばくてイニシャルも書けない)、そこのオーナーがよくアジアの某国で仕入れてきたそうな。てか、本人が自慢げに某プロツアー会場で某ディーラー相手に話してました。すごい白い目で見られてたけど。

本人いわく「まったく見分けがつかいない。今の技術はすごい!」だそうな。
当時はインベイション時期だったんですが「箱一杯にUndermineやUrza’s Rageがあった」とのこと。
具体的にどのくらい仕入れたのかは知りませんが、あれマジでネットで売ったのかな。

ちなみにその店はいまはもうありません。
いまどこいったんだろな、あのオーナー。

ちなみに私もソレと思われるカードを見たことがありますが、実際はまあまあの出来でした。そんなベタ褒めするほどでもない。見分け方はカードのセンタリング(印刷位置)とインクの匂い。あと、本物のマジックのカードは紙が複数層になっていて、その中に1枚だけ「青い」紙が入っているのですが、その某アジア国産と思われるカードは真っ白でした。

まあこの件はちょっと教訓になりました。
カードを買うなら信頼できるところ(少なくとも数年の実績があるショップか、名前の通っているディーラーがいるところ)からどうぞ。スタンダードの高価なカードだけが多量に在庫にあり、安いカードを売ってないところなんてちょっとわくわくしちゃいます。

■パワーナインのフォイルカード!
バカは相手にしないこと。以上。
バカから購入した子バカも、まとめてブラックリストに放り込みましょう。

どうでもいいけど、例の「きせいちゅう」って読みたくなるようなアカウント名のYahoo出品者はその後どうなったんでしょうねえ。

あ、本題とは関係なかったですね。失礼。

盗難。

2006年10月14日
■盗難。

今回はちょっと黒めのお話を。
マジック界における盗難のお話です。

まあ、とにかくこの世界は盗難だらけですよ。
実際問題として、発売前セットのカード(プレイテストカードを含む)、配布前のプロモカードの流出はなどはほとんどが内部の犯行と言っていいでしょう。これに情報流出(守秘義務契約結んでるのにねえ)も含むと……まあ、すごい量のモノが不正に流出してるんですよ。マジックを製造してる某社からは。


ま、それだけオカネになるってことかもしれませんが。
ウィザーズの社員が、倉庫からボックス持ち出して売り捌いてたって話も聞きますし。


数年前までウィザーズ社はシアトル近郊に大きなトーナメントセンターを置き、そこで世界選手権などを運営していたのですが、そこに飾ってあったHypnotic SpectorとLord of the Pitの原画も盗まれてます。後日、ブラックマーケット(って程でもないか)に流通してたのを某ショップのバイヤーが発見し、同社に連絡したようで。ちゃんと回収できたのかどうかはシリマセン。

マジック初期からのイラストレーター、Anson Maddocksも原画の盗難にあってます。どうやら内部のヒトが持ち出しちゃったらしいのですがね。これは、知らずに買い取った某社のバイヤーとの平和的話し合いの上で返還されています。

「セラの天使」で有名なDouglas Shulerも盗難にあったようで、当のSerra Angelの原画を失っています。ただしコレは、Douglas氏本人も「紛失か盗難かわからない」とのことですが。ちなみに氏は、この紛失後にもう一度同じものを描いてます。現在存在するのはそのレプリカのほうのみで、所有者は日本人です。


さらにいくつか挙げると、昨日の日記に書いた「Quinton Hoover氏のProposal」も日本で盗難されましたし、その後やはり日本のグランプリで某アーティスト(名前失念。GP福岡だったかなあ…?)が持参したアーティスト・プルーフカードが箱ごと盗まれるという事件もおきてます。足元に置いておいたら、サイン中に盗まれたとか。…しかし思うのですが、アーティストプルーフなんて盗んでどうするんだろうな? アーティストのサインが入る前のアーティストプルーフなんて「盗難モノ」って書いてあるようなものだろうに。

(私見ですが、現在世の中に出回ってる「中国語・第四版黒枠」のアーティストプルーフ。これは工場流出モノと見ております。サインが入ってるのを見た試しがないし。中国の工場はイロイロ流出させてるからなあ…)


そういえば「盗難」と言えばデカいのは、某Star City Gamesに押し入った泥棒の話ですかね。
セキュリティ会社と契約し、電子センサー式のアラーム&赤外線センサーまで作動してたのに、付近一帯の送電線&電話線(異常が発生したら自動的にセキュリティ会社に通報されるシステムなので)を切断して侵入したそうな。そりゃオーナーも激怒するわ。

ま、この話はまだ今度にでも。
■もっともレアなカード?
もっともレアなカードは何なのか?

City of Traitorsのフォイル?
サマーマジックのレア?
Sperendid Genesis?


まず最初に、ソレが例えどんなにレアに思えるカードであろうとも、パックに入ってたものは全て除外です。サマーマジックだろうが、アルターネイト4thだろうが。あと何らかの場(公式、非公式問わず)で配ったカードもお話になりません。エキスパンションシンボルがない「ウルザズサーガ」のフォイルIsland、同じくエキスパンションシンボルがないBeast of Burdenフォイル、はたまたデザイナーのご息女・ご子息誕生記念等。

本当にレアで、それでいて公式に存在が認められているカードは主に特別な賞品・贈答品です。この文章を書いている2007年10月の時点で確認している「世界に1枚」のカードは4種類。そのうち2枚は通常のカードのイラスト違い版なので、それを除いた残りの2枚が本当の意味での「世界で1枚だけ」のカードとなります。

以下、その詳細。

■1996 World Champion
1996年度のワールドチャンピオンシップの優勝者に送られたトロフィーの中に封入された特別なカード。ちなみにこの年の優勝者はオーストラリアのTom Chanphengです。なおこのトロフィーはとっくの昔に売却され、現在は某ヨーロッパ在住の某コレクター(知る人ぞ知る人物ですね。ホログラム・フォイルのチビドラゴンとかも所有しています)の元にあります。まだトロフィーは壊されてない(=カードは取り出されていない)そうですよ。

■Shichifukujin Dragon
今は無きDCIジャパンのトーナメントセンターが渋谷にオープンしたときに、本社からプレゼントされた究極のレアカード。前述の「1996 World Champion」は世界に1人だけとはいえ誰もが入手できるチャンスがあったと言えるのですが(トーナメントの賞品だからね)、このカードは正真正銘の「入手不可」でした。ああ、当時のHJ社を買収したら手に入ったとも言えるのかな?
ちなみにこのカードは立派な額縁に入れられて渋谷のトーナメントセンターに飾られていたのですが、「写真撮影厳禁」というよくわかんないルールがありました。カウンターの後ろに飾ってあったのですが、わざわざこのカードを見るために訪れた外人さんが写真を撮ろうとするとスタッフが手で遮るほど。偽造防止?独占欲? おかげで今でも海外ではあまり認知されていない、可哀想なカード。

■Ancestral Recall
2005年度のGenConトーナメントの優勝者に送られた新イラストのAncestral Recall。
まぁ、そんだけ。

■Mox Pearl
こちらは2006年度。
けっこうどーでもいい感じです。


まぁ、その他のレアなカードといえば有名な「Proposal」がありますが、これは合計10枚も刷られていますし、そもそもが白黒コピーを既存のカードに貼り付けただけなので公式カードといえるか怪しいところ。ちなみにこのカードはリチャード氏がプロポーズに使用したあとは1枚だけイラストレーターのQuinton Hoover氏のところに残されていましたが、氏が日本にサイン会に来たときに会場で盗まれました。なので、現在このイラストはどこでも確認することができません。

ああ、日本のどっかにはきっとありますね。
「見たことある」って人にも会ったことあります。ホントかウソかは知りませんし、知っちゃうと見てみぬ振りもできなくなるので知りたくもありません。



蛇足:
City of Traitorsのフォイルは確認されただけでも5枚、サマーマジックのレアカードは推定各8〜15枚、Sperendid Genesisは40枚ほど存在します。なのでどれも全然「究極のレア」じゃない。
先日の「サマーマジック」パックの中で「アイスエイジ以前のパックは半透明」と書きました。古い時代を知らないプレイヤーの方は耳を疑うかもしれませんが、実際半透明です。見えます。

羅列すると、アルファ、ベータ、アンリミテッド、アラビアンナイト、アンティキティ、レジェンド、ダーク、フォールンエンパイア。この8セットはパックの外から中身が見えます。まぁ、「見える」と言ってもそれなりのコツがいりますが。

具体的には前回書きましたように「パックの印刷の白色の部分」が透けるので、そこから中のカードを読み取る感じです。この方法で大抵利用されるのはパックの上の部分。ここだと「カード名」が見えますから。なのでお店でパックを買うとき、パックの「表から見て左上」が、他の3つの角よりも極端に痛んでいるパックを見たら……まあそういうことです。その店が悪いのか、その店が仕入れた元の店が悪いのかはシリマセン。


さて、では本題のサーチの話。

たとえば、イタリア語版のリバイズドはカードの印刷の色が濃いため、時間さえかければ上の方法で中のカードは選びたい放題です。しかもイタリア語リバイスドはカードの入っている場所が・・・なので、まぁものすごく簡単にレア引き可能です。英語版リバイズドは印刷が薄いので大変困難。でもできないことはないレベル。

まあ実際問題として、今ではこれらのパックが客の手に触れるところに置いてることはないでしょうし。あくまでも「古いパックを購入するときに、その店の良し悪しを計る手段」として使う知識です。

さて、これよりもっとヤバいのはアルファ・ベータのパックの話ですかね。
さすがにコレは確認はできていないのですが、どうもこの3種類のパックはブースターパック封入時に「一定の順番(ぶっちゃけアルファベット順。1ボックスに全レアは入りきらないので、ソートの種類は数種類ほどあったようですが)」で入っていたらしく「上から○番目〜」という形で小学生でもサーチ可能だとか。いや、確認してないですけどね。

未確認なので削除

あとこれは公式な情報ですが、レジェンドのボックスはアンコモンのソートが完全に2種類に分かれており「Aタイプのボックスからは常にマナドレインが出るが、Bタイプのボックスからは絶対に出ない」というのがあったそうな。アンティキティのころには、同じボックスに入っているパックのカードのソートが殆ど同じということが頻発したようですし、この頃はまだカードのソートってのにあまり気を使ってなかったんでしょうね。
一般に知られてる「ブルーハリケーン」とか「魔方陣がないDemonic Tutor」みたいなツマンナイ話は省略。そんな誰でもしってるゴミ知識なんて期待されてないでしょうし。



比較的知られて無い情報はというと、

 1) Serendib Efreetのイラストは直ったが、イラストレーター表記が違う
2) やっぱりイラストレーター表記が違うPlateau

…あ、いま見たらwikiに載ってるや。
この程度の情報は、もはやレアな部類に入らない時代ですね。



んじゃ、wikiで間違ってるところを少々。

まず最初に「魔方陣」についてですが、これは「宗教的理由により削除」ではないです。
まぁ似たようなものですが、一般に言われてる「宗教団体からクレームがきてうんぬん」ってのは大ハズレです。もっともらしく「本来"五芒星"は神を現すのに、それを邪悪(Unholy)として扱ったから〜」なんて解釈まで語る人がいますが、それもダウトです。

これは、リバイズド時期がちょうどマジックの成長期だったことが原因です。
発売直後は比較的マイナーなゲームだったマジックですが、リバイズド発売前にはかなりの規模に成長していました。その様な時期に満を持して発売となるリバイズド。今まではマイナーゲームなので比較的緩かった規制を強化し「(宗教上・教育上の問題で)揉め事になりそうなものは念のために削除」したのが本当の理由です。クレームじゃないんです。事前に手を打ったんです。



んー、小ネタだな。あんまりおもしろくないや。
じゃあ、ちょっとレアな情報でも。



wikiによると「サマーマジックのパックはリバイズドと見分けがつかない」とありますが、実際は見分けがつきます。
通常のリバイズドはパックに「カードが裏向き」の状態で封入されてますが、サマーマジックのパックは「カードが表向き」の状態になってます。わかりやすく補足すると、リバイズドのパックはアルミ製ではない(マジックのパックはアイスエイジからアルミ製、それ以前は色付き半透明のビニール製でした)ためにパックの印刷の「白色」の部分から中身が僅かに透けて見えるのです。通常のパックの場合、パックの表側から中身を見ると「カードの背面」が見えるのですが、サマーマジックでは「カードの表面」が見えます。封入されてる表裏が逆なんです。

こういう話を書くと「じゃあwikiを修正しろよ」と言われそうですが、実際問題としてホンモノを見たことある人間自体がものすごく少数であるため、一般に信じられてる「見分ける方法は無い」という情報を信じきってる人に再修正されるのがオチになるかと思います。世の中、自分で確かめたワケでも無いのに「自分の知ってる知識」を妄信する輩が如何に多いものか。


ちなみにいま現在でも未開封のサマーマジックのパックは存在します。
かつて海外大手ショップT社のバイヤーが個人所有してましたが、今は他者に販売され、その買取主のもとでまだ未開封のまま眠っているそうです。

ごあいさつ

2006年10月7日 TCG全般
なにか書き綴る場所が欲しかったのでブログを借りてみました。
「そのうち検索にでも引っかかって誰か見にくるかな」くらいには思ってますが、あまり人に見せることは想定して書いてないので、見苦しい点があったらご了承を。そもそも書き始めた動機の半分はイタズラ心です。あんまり公に話す機会のあるような話ではないので、「せっかく知ってるしもったいないから書いとこう」くらいの心意気。

一応内容はそれなりに裏は取ってますが、間違ってる可能性も多分にありますので念のため。
あと余りにプライベート&犯罪な内容は一応一部伏せます。盗難関係とか。

ああ、盗難といえば数年前にアメリカのStarCity Gamesに入った泥棒は根性入ってましたね。保険に入ってたので実害はあまり無かったようですが、ショップはマジ切れで独自に賞金1万ドルかけて情報募集してたくらいですから。そりゃ、かなり万全の防犯体制だったのに映画並みの大掛かりな手段で入られ、高額カードごっそりやられてましたからねえ…。たしか被害総額3〜4百万くらいだっけ?。

んじゃま、せっかくだし初回はこの話から始めましょうかね。

マジック界の裏話&黒歴史、興味ある方だけご堪能くださいませ。

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